岐阜県飛騨市

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レールマウンテンバイク ガッタンゴー
【岐阜県飛騨市】

※この記事は2018年旅行読売10月号に掲載されたものです。

岐阜県の奥飛騨温泉口駅と富山県の猪谷(いのたに)駅の19.9キロを結ぶ神岡鉄道(神(かみ)鉄(てつ))は、2006年に廃止された。この山深い県境の廃線跡に、廃止から10年以上がたった今、観光客が訪れている。お目当ては、マウンテンバイクが線路上を疾走する「レールマウンテンバイク ガッタンゴー」。4月にオープンした新しい「渓谷コース」を体験した。

第1高原川PC橋を渡る「渓谷コース」

飛騨市神岡町の旧漆山(うるしやま)駅に「渓谷コース」の受付と仮設トイレがあり、ここがスタート地点になる。ヘルメットを装着してスタッフから運転のレクチャーを受けたら、安全ベルトで自転車と体を結び、先導バイクに続いて出発した。往復6.6キロ、所要40分?1時間のサイクリングだ。

乗車前に10分ほど注意点やコースの説明を受ける。雨の日はレインウェア着用

メタルフレームに固定されたマウンテンバイク2台は電動アシスト付きで、ペダルの抵抗は少なく、雨天のこの日も難なく進む。錆(さ)びたレールの継ぎ目、一定のリズムで摩擦音がして、振動が直接ハンドルに伝わってくる。スピードにのって走ると、「ガッタン、ガッタン」という走行音が本物の列車のよう。雨に濡れる緑や土の匂い、風にのって顔を打つ雨粒が外にいることを教えてくれる。

林道を抜けたところから見所が連続する。大きくカーブするどっしりした造りの第1高原川PC橋を渡り、神通川支流の高原川に沿ってゆるやかな坂を上る。足元の線路と対岸の国道41号以外、人工物は見当たらない。スピードを落とすと、野鳥の声や川のせせらぎが谷間に響いている。10月下旬?11月上旬は渓流沿いの山並みを紅葉や黄葉が彩る。

赤い鉄製の骨組みが目を引く第2高原川鉄橋の真下に高原川の青い清流。かなりの高さでスリルがある

第1漆山トンネルに入った瞬間、目がさめるような冷気に包まれた。自転車のライトが照らす鉄路のずっと先、半円形の出口のほかは真っ暗だ。走行音が「ゴオーッ」と地下空間に反響して迫力がある。

トンネルを出ると清流が真下を流れる赤いトラス橋を渡り、さらに第2漆山トンネルが続く。最後の第3高原川PC橋を渡ると、折り返し地点の二ツ屋トンネル前に到着、ここで反転する。復路は下りなのであっという間だ。

赤い鉄製の骨組みが目を引く第2高原川鉄橋の真下に高原川の青い清流。かなりの高さでスリルがある

乗ってみて、貴重な鉄道遺構を生かした特殊な観光施設という印象を受けた。線路上を自力で走る経験など普段はできないから強烈な非日常感があるうえ、渓谷沿いの景観は美しく開放的、橋やトンネルが連続して変化もあり楽しい。

NPO法人神岡・町づくりネットワークの田口由加子さんは、「やっと『渓谷コース』をオープンできました。全線の6割がトンネルで奥飛騨の地下鉄?と呼ばれた神鉄で、一番景観のいいルートです」と話してくれた。

文/福崎圭介

■渓谷コース
営業/4月〜9月は9時〜、10時15分〜、11時30分〜、13時15分〜、14時30分〜、15時45分〜の1日6便(10月〜11月と短縮営業日は最終便休※予約推奨)/水曜休、12月〜3月休
料金/1車両5000円〜
住所/飛騨市神岡町西漆山
交通/北陸道富山ICから35キロ、または東海北陸道飛騨清見ICから50キロ

※注意
・140センチ未満の子どもは自転車がこげないので補助席を利用
・未就学児は「渓谷コース」乗車不可
・線路の錆びが飛ぶことやトンネル内に漏水箇所があるため汚れてもいい服装で。

【問い合わせ・予約】
電話090・7020・5852(9時〜17時、水曜休)
またはホームページhttps://rail-mtb.com/ で。