茨城県牛久市

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たびよみ

【進化する日本ワイン】日本初の本格的ワイン醸造場
牛久シャトー(茨城・牛久市)

※この記事は2018年旅行読売11月号に掲載されたものです。

日本ワインと聞くと山梨や長野を思い浮かべるが、ブドウ栽培からワイン醸造、瓶詰めまでを一貫して行う日本初の本格的なワイン醸造場が設立されたのは、実は茨城県牛久市。1903年に完成した牛久シャトーがそれだ。現在の敷地は約6万平方メートル。正門から入ると時計塔を備えたレンガ造りの本館(旧事務室)に迎えられ、その奥に神谷傳兵(かみやでんべ)衛(え)記念館(旧醗酵室)とレストラン キャノン(旧貯蔵庫)が立つ。この3棟は明治期の建物で、国の重要文化財。ワイナリーを訪ねて、こんなに貴重な建物に出合えるとは意外だ。

軽井沢の旧三笠ホテルを手がけた岡田時太郎が設計した本館。建物だけでも一見の価値がある

創設者の神谷傳兵衛は17歳からフランス人が経営するフレッレ商会の洋酒醸造所で働き、24歳で独立。浅草に濁り酒の一杯売り「みかはや銘酒店」(現・神谷バー)を開き、デンキブランや甘いブドウ酒「蜂印(はちじるし)香竄(こうざん)葡萄(ぶどう)酒」などを世に送り出し財を成した。

「傳兵衛はフレッレ商会で働いていたとき、原因不明の腹痛に襲われ医者に見放されましたが、見舞いのワインを飲んだら奇跡的に回復したそうです。このとき、ワイン醸造場を持つことが傳兵衛の夢になりました」と、物販部長兼営業推進部長の川口孝太郎さん。

キャノンコースのメーン料理(肉)とグラスワイン500円

財力を蓄えた伝兵衛は、47歳で念願のワイン醸造場を設立した。牛久を選んだのはブドウ栽培に適した広大な土地が得られることと、鉄道(常磐線)があり商品を搬送しやすいことだった。

神谷傳兵衛記念館は2階建てで、醗酵室だった頃はブドウ畑からトロッコで果実を運び、2階の貯蔵庫に収めた。2階では選果、破砕などを行い、果汁を床の穴から1階の発酵樽に詰めていた。

遊歩道を歩くとメルローとマスカット・ベーリーAを栽培する畑が見られる。作業中の醸造スタッフ・佐野理恵さんに話しかけると、「ブドウは生育期の夏に1日の寒暖差が大きい方が良いのですが、牛久は夜の気温があまり下がらないのが悩みどころですね。でも、マスカット・ベーリーAは土壌との相性が良いのか、他の産地のブドウよりも色や味が濃いワインに仕上がります」とのこと。9月1日からは、園内で栽培したブドウだけで醸造する「牛久葡萄酒」が数量限定で販売されている。

レストランは柱がないトラス構造の旧貯蔵庫を活用している

楽しみの試飲は、フランス、イタリアなどの輸入ワインもそろえるワインセラーで。傳兵衛の養嗣子(ようしし)・傳蔵の出身地にちなんで、山形県産のブドウで醸造した日本ワインの「CANON(キャノン) WINE(ワイン)」を試した。軽やかで飲みやすく、ほどよい渋みの余韻が楽しめた。

試飲後はレストラン キャノンでフレンチを味わいつつ、ワインを飲むことにした。ランチのキャノンコース(2000円)は、メーンは肉料理か魚料理、デザートは3種から選べる。

ワインに加えて、敷地内にはブルワリーもあり、できたての「牛久シャトービール」と創作料理が味わえる「ラ・テラス・ドゥ・オエノン」や、芝生広場の「バーベキューガーデン」などもある。次回はクラフトビールを目当てに訪れるのもよさそうだ。

文・写真/内田 晃

電話/029・873・3151
住所/牛久市中央3-20-1
交通/常磐線牛久駅から徒歩8分
【ショップ】10時〜18時/年末年始休
【レストラン】11時30分〜21時/年末年始休。レストラン キャノンは11時30分〜15時、17時〜21時/月曜休、年末年始休
【資料館】10時〜17時/年末年始休/無料
ホームページ http://www.oenon.jp/ushiku-chateau/