
マレーシアは日本から飛行機(直行便)で約7時間、時差も1時間だけ。多民族、多文化、そして多種多様な生命を育む熱帯雨林の魅力あふれる国の景観やグルメはまさに多彩。その観光情報を紹介します。
1. マレーシアってどんなところ?

マレーシアは赤道の近くにあり、熱帯雨林気候で高温多湿な国です。面積は約33万平方キロメートルで、日本の9割ほど。西マレーシアとも呼ばれるマレー半島南部、東マレーシアとも称されるボルネオ島北部などからなり、自然景観や動植物は多種多様です。インド洋と南シナ海の中間に位置し、古くから商人や旅人が往来する交通の要地であり、様々な文明の影響をうけ、多様な民族が移り住んできました。そんな歴史を背景に、バラエティーに富んだ街並みや史跡を見ることができ、カラフルな建物や土産物、多彩な料理を味わうことができます。公用語はマレー語ですが、タミル語、中国語も話されています。英語も広く通用するので、観光や買い物に役立ちます。
2.東西文化の交差点。多彩な建物や料理の背景にある歴史とは
マレーシアは交通の要所だったために、古くから世界各地から人々が集まり、マレー、中国、インドといったアジア圏だけでなく、西洋の影響も受け、独特の生活文化が生まれました。現地で触れることが多いキーワードを中心に歴史を解説します。
2-1 プラナカン文化

プラナカンマンション 画像提供:JTAジャパン
15世紀から16世紀にかけて、中国本土からマレー半島方面に渡って来た男性と、地元のマレー人女性が結婚するなどして生まれた子孫らのことを、現地では「プラナカン」と呼ぶようになりました。ポルトガル、オランダ、イギリスなど西洋諸国の勢力がこの地域に進出するなか、独特の美的感覚を持つプラナカンは、中国、マレー、西洋を融合させ、色彩豊かな衣服、タイルや料理、食器などを生み出し、それが今日に伝わっています。
2-2 ババ・ニョニャ

プラナカンの男性は「ババ」、女性は「ニョニャ」と呼ばれるので、現地では「ババ・ニョニャ」という言葉を耳にすることがあるでしょう。また、ニョニャ料理を味わい、ニョニャ食器を目にする機会もあるはずです。マレーシアでは、マレー、インド、中華料理と並んで、マレー、中華を融合したニョニャ料理も楽しめます。
2-3 多宗教国家マレーシアのモスク、寺院、教会
交通の要地だったゆえに多民族で構成されるようになったマレーシアには多宗教が共存しています。このためイスラム教のモスク、仏教寺院、ヒンドゥー教寺院やキリスト教の教会が各地にあり、目を見張るような建築美や歴史的背景への関心から多くの来訪者が絶えません。
3.マレーシアのエリア別観光スポットを紹介
3-1 モダンとレトロが混在する大都市クアラルンプール

クアラルンプールの街並み
首都はマレーシア最大の都市クアラルンプール。高さ400メートル以上の高層ビルであるペトロナス・ツインタワーやユニークなデザインの歩道橋であるサロマ・リンク・ブリッジの夜間ライトアップは見逃せません。一方、旧市街には英領時代のコロニアルな建物が並んでいます。
3-2 クアラルンプール近郊の様々な観光スポット

クアラルンプールから行政機能が移されたプトラジャヤには、「ピンクモスク」として知られるプトラモスクがあります。一方、クアラルンプール南西のシャー・アラムにあるのは、「ブルーモスク」として有名なスルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスクです。クアラルンプールの周囲には、ヒンドゥー教の聖地であるバトゥ洞窟、ビーチリゾートのポート・ディクソンもあります。
3-3 イポー

マレーシアで3番目に大きな都市で、マレー半島の西側にあるのがイポーです。白亜の美しいイポー駅の駅舎は英国人が設計しました。南の郊外には、19世紀の英国人ゴム農園主の居城だったケリーズキャッスルがあります。建設途中で持ち主が亡くなったため未完成となっている遺構にはミステリアスな雰囲気があります。
3-4 マラッカ

マラッカには東西貿易の要地として栄えた歴史があり、ノスタルジックな街並みやオランダ広場のカラフルな建物などが世界中から訪れる観光客を魅了しています。16世紀にポルトガル人によって建てられたセントポール教会跡、サンチャゴ砦の遺構もあり、近郊のマラッカ島には幻想的な「マラッカ海峡モスク」もあります。
3-5 ランカウイ島
マレー半島西側のタイ国境近くにあるランカウイ島は、アジア有数のアイランド・リゾート。自然保護のため、開発できるエリアが島の35%に限られており、熱帯雨林のマングローブ林などがあります。マチンチャン山の頂上にケーブルカーで登れば、絶景が見渡せます。そこからは空中回廊スカイブリッジに行くことができ、さらなる絶景が楽しめます。
3-6 ボルネオ島

国土の3分の2を熱帯雨林が覆うのがマレーシアです。中でもボルネオ島北部のサバ州の森林にはオランウータンが生息し、世界に類をみないほど多様な動植物を有します。州都コタキナバルがボルネオ観光の拠点です。自然豊かで野生動物も多いサラワク州の州都クチンの名はマレー語でネコを意味します。市内のあちこちにネコの像があり、世界中のネコに関する資料を集めたネコ博物館もあります。
4.マレーシア旅行で知っておきたいこと
4-1 交通アクセス
東京(成田空港、羽田空港)、大阪(関西空港)とクアラルンプールを結ぶ直行便が運航しており、フライトは約7時間です。陸路による長距離移動にはマレー半島を縦断するマレー鉄道や長距離バスが利用できます。長距離バスは小さな町にもアクセスできます。タクシーは日本に比べて安価で、英語も比較的通じます。
4-2 気候・服装
マレーシアは高温多湿の南国ですが、年間の平均気温は約27度で、高原地帯をのぞいておおむねTシャツ、短パン、サンダルなどの夏の服装で過ごせます。雨に備えて、速乾性にすぐれた服装がおすすめです。モスク、仏教寺院、ヒンドゥー教寺院などは、神聖な祈りの場です。見学するときは、肌の露出を避けた節度ある服装を心がけましょう。なお、日本の真夏のように35度を超える日は少ないです。乾期と雨期がありますが、エリアによってその時期が異なりますし、近年の気候変動で時期があいまいになる傾向もあります。雨期も日本の梅雨のように一日中降り続けることはあまりありません。
4-3 宿泊

レクシス・ハイビスカス 画像提供:エムエスツーリスト
マレーシアには豪華な高級ホテルから一人旅向きのビジネスホテル、長期滞在用のサービスアパートメントまで、様々なタイプの宿泊施設がそろっています。歴史的建造物を改装したヘリテージ・ホテルがある一方で、ビーチリゾートには水上コテージのあるモダンなホテルもあります。
4-4 ツアーで効率的に観光スポットを回る
マレーシアの観光スポットは様々なエリアに分散しています。限られた日数で、できるだけ多くのスポットを効率よく旅をしたい場合、旅行会社のツアーが便利です。
5. その他のマレーシア基礎知識
日本国籍を持ち、観光目的で90日以内の滞在ならビザは不要です。ただし入国時に、パスポートの残存有効期間が6か月以上必要です。また、帰路(または次の目的地)の航空券の所持も必要です。通貨はリンギットで、1リンギット=34.80円(8月20日現在)。マレーシアの電源プラグは基本的に三つ穴があるBFタイプなので、日本から携行する電気製品を使用するためには変換プラグが必要です。水道水は直接飲まないのが無難です。あらかじめミネラルウォーターを購入して飲むのがよいですが、日本と違って街には飲料の自動販売機がないので注意が必要です。チップは基本的には不要ですが、ホテル、レストラン、タクシーなどで気持ちのいいサービスを受けた場合は、渡してもかまいません。
とりっぷナビ編集部
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