竹田城跡は兵庫県朝来(あさご)市の静かな山あいにありながら、「天空の城」ブームにより全国有数の知名度を誇る山城になりました。どのような城なのか魅力や行き方、登る際の注意点などを紹介します。
1.竹田城跡の魅力

1-1. 天空の城とは
竹田城の名前は知らなくても、雲海に浮かぶ城と石垣の写真を見たことがある人は少なくないでしょう。20年ほど前、地元のアマチュアカメラマンが撮影したこの「天空の城」の写真が、新聞や雑誌、「日本100名城」(日本城郭協会)の公式ガイドブックなどのメディアに取り上げられ、「天空の城」ブームが起きました。その後、竹田城跡には多くの人が訪れるようになり、同じような雲海写真が撮れる備中松山城(岡山)や越前大野城(福井)が注目されるようになりました。
竹田城跡は、兵庫県朝来市の標高353.7mの古城山の山頂にあります。円山川が流れる山あいの盆地は、秋に雲海(朝霧)が発生しやすく、また山城としては珍しく広い範囲に石垣と曲輪(城の区画)が残っていて、その組み合わせが「天空の城」の風景を生み出しました。中央の最高峰を天守台とし、三方に広がる尾根上に本丸、二の丸、三の丸、花屋敷を配し、南北の端を南千畳・北千畳としました。南北約400m、東西約100mの巨大な石垣の要塞です。
山上に石積みの遺構が並ぶ姿が似ていることから「日本のマチュ・ピチュ」とも呼ばれます。山上の遺跡は見る人に歴史ロマンを感じさせ、秋の雲海だけでなく、春の桜や冬の雪景色など、四季それぞれの美しい姿を見せてくれます。
1-2. 雲海を見る時期と場所

雲海(朝霧)が発生しやすい時期は秋です。特に昼夜の寒暖差のある11月に出やすく、よく晴れて冷え込んだ日の早朝が狙い目です。季節や天候の条件があるので運の要素も大きいのですが、だからこそ、一瞬のシャッターチャンスを狙って多くのカメラマンが訪れるのです。
城と雲海を眺める場所は、城跡か、城の南東にある自然公園の立雲峡(りつうんきょう)の展望台がおすすめです。どちらも早朝の山登り・山歩きが必要になり、また周囲に街灯がないため、懐中電灯(ヘッドランプ)や歩きやすい靴、防寒具、雨具などの一般的な登山装備・道具を用意して行くのをおすすめします。
竹田城跡の天守台や二の丸、三の丸からは、運が良ければ間近に、雲海に浮かぶ南千畳の絶景が眺められます。入城時間は季節によって異なり、雲海シーズン(9月中旬~12月上旬)とサマーシーズン(6月~9月中旬)は朝5時から夕方5時まで入れます。また1月4日~2月は冬季閉山のため入城できません。観覧料は500円です。
一方、立雲峡の展望台からは、遠くに竹田城跡の全景が見られ、望遠カメラがあれば、雲海に浮かぶ「天空の城」の雄大な風景をカメラに収めることができます。
1-3. 竹田城へのアクセス

竹田城へのアクセス方法はいくつかありますが、山城なのでいずれも山登りになります。最寄り駅の播但(ばんたん)線竹田駅から歩く場合、やや急坂の「駅裏登山道」か460段の石段がある「表米(ひょうまい)神社登山道」を登って40分ほどで竹田城跡入口に着きます。
歩く時間をなるべく短くしたいなら、竹田駅からタクシーか天空バス(昼運行)で「竹田城跡バス停」まで行き、ここから舗装されて歩きやすい「西登山道」を20分ほど登ると、竹田城跡入口に着きます。11月の土・日曜、祝日は雲海バス(早朝運行)が走るので、雲海が目的なら便利です。
車の場合は、駅周辺の駐車場に停めて「駅裏登山道」または「表米神社登山道」を登るか、城の北側にある「山城の郷」に停めて「西登山道」経由で入口まで40分ほど歩きます。「山城の郷」はレストランや土産物店、休憩所、観光案内所からなる複合施設です。
竹田城入口から竹田城出口までは一方通行になっており、所要時間は30分ほどです。帰りは上記のどれかのルートで駅から駐車場に戻ります。
1-4. 立雲峡へのアクセス
竹田城跡や城下町の展望地となっている立雲峡へは、竹田駅からタクシー10分(または徒歩40分)の立雲峡駐車場で車を降り、標高300mの第3展望台、標高350mの第2展望台、標高420mの第1展望台まで歩きます。
駐車場から第2展望台までの所要時間は約10分、ここから第1展望台までは約25分歩きます。2021年に、さらにその上に竹田城を望む「立雲峡テラス 光の道天望所」ができ、人気の撮影スポットになっています。
周辺は「但馬吉野(たじまよしの)」と呼ばれる桜の名所で、春は山桜などの景観も楽しめます。
1-5. 城下町さんぽ

竹田城の城下町は、1600年の廃城後は、姫路と和田山を結ぶ但馬街道の宿場町となり、そのにぎわいの名残が感じられる古い町並みが残っています。城主の菩提寺がある寺町通り、錦鯉が泳ぐ白壁沿いのお堀と松並木、旧街道沿いに軒を連ねる町家のほか、酒造場をリノベーションしたホテルやレストラン、古い町家を活用した雑貨店など新旧の見どころをめぐる町歩きを楽しめます。
2.竹田城の歴史

竹田城は15世紀、但馬守護の山名宗全が配下の太田垣氏に築かせたのが始まりとされています。その後の1580年、羽柴秀吉の但馬攻めにより落城し、弟の秀長や配下の赤松広秀が治めました。現在残る縄張りや石垣は、広秀が整備したものとされています。こうした歴史経緯から、26年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」にも登場する可能性が高い城の一つです。
1600年の関ヶ原の戦いの後、西軍についた広秀は紆余曲折ののちに家康に切腹を命じられ、城主がいなくなった竹田城は廃城となりました。400年以上前に歴史から消えた城跡が、霧の立ち込める山上に今もまだ残っている、その風景にロマンを感じます。
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とりっぷナビ編集部


























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