「温泉大国」の日本の中でも、九州は全国屈指の規模の温泉郷や、個性的な秘湯があり、温泉ファンにも人気の高いエリアです。九州観光機構が「九州八十八湯めぐり」企画を行い定着しているほど。その中でも温泉好きなら一度は行きたい名湯10か所を前後編に分けて紹介します。
1.九州の名湯10選
1-1 別府温泉郷(大分)

九州を代表する温泉地として知られるのが別府温泉郷です。「日本一のおんせん県」をうたう大分県の中でも存在感は随一で、「別府」という地名が温泉地の代名詞となっていると言っても過言ではないくらい有名な温泉地です。
別府のなにがすごいのか? 別府市にある温泉の源泉数は2800を超え、日本一です。日本に約2万8000ある源泉の10分の1を一つの自治体が占めているわけですから、その密度の高さがうかがえます。温泉の総湧出量、毎分約10万2000リットルももちろん日本一。湯量がずば抜けて豊富なため、旅館やホテルだけでなく、大小の共同浴場でかけ流しの源泉を楽しめるのも特徴です。浴場と脱衣所だけの小ぢんまりとした路地裏の共同浴場で、地元の人たちに交じって湧いたばかりの熱い湯につかる、そんな日常風景も別府ならではです。
さらに「別府八湯」と呼ばれる8つの温泉地、浜脇、別府、観海寺(かいかんじ)、堀田、明礬(みょうばん)、鉄輪(かんなわ)、柴石、亀川温泉に分かれていて、日本に10種ある泉質のうち7種が湧いています。八湯の中でも特によく知られているのは、別府駅や繁華街に近く砂むし風呂の竹瓦(たけがわら)温泉のある「別府温泉」、地面から湯けむりが立ちのぼり湯治向けの小宿が並ぶ「鉄輪温泉」、白くにごる硫黄泉から湯の花を作る「明礬温泉」です。海・山・町のロケーション、泉質が異なり、宿の規模・スタイルもさまざまなので、「地獄めぐり」などの観光や「別府冷麺」などのグルメを含め、何度訪れても楽しめる"温泉テーマパーク"になっています。
約150の参加施設の中から88湯を巡り、スタンプ帳に入湯記念印を集める「別府八湯温泉道」は、別府の“温泉力”の高さを表しており、これをひな型にして九州全体に広げたのが「九州八十八湯めぐり」です。別府温泉郷の中だけでも思う存分湯めぐりが楽しめるというわけです。
アクセスは博多や福岡空港からの高速バスが発着しており、また人気の「特急ゆふいんの森」が博多-別府駅間を結んでいます。大分空港からもバスで約50分と行きやすいです。
1-2 由布院温泉(大分)

別府温泉郷が別府湾に面した「海・山の温泉」だとしたら、由布院盆地にある由布院温泉は「里の温泉」と言えるかもしれません。久大本線の由布駅を降りたら、由布岳などの山々を眺める田園地帯の中に町並みがあり、土産物・飲食店が並ぶ「湯の坪(ゆのつぼ)街道」を景勝地の金鱗湖(きんりんこ)まで歩くのが定番です。別府と由布院は、鉄道または高速バスで1時間ほどと近く、両方回る人も少なくありません。
温泉は無色透明でクセのない単純温泉、アルカリ性単純温泉が中心で、由布市の温泉の源泉数・湧出量は別府市に次ぐ全国2位と湯量たっぷり。配湯で1か所に集まる必要がなかったので旅館同士は離れており、メインストリートから少し奥に入ったところに比較的広い敷地の宿が点在しています。庭や露天風呂を備える宿も多く、高級宿の中では「御三家」と呼ばれる「亀の井別荘」「由布院 玉の湯」「山(さん)荘(そう)無(む)量(ら)塔(た)」が有名です。
昭和の時代にさまざまな開発計画が持ち上がりましたが、そのたびに地元の人たちが反対し、素朴でのどかな景観を守ってきました。毎年映画祭が開催され、美術館や工芸品の工房もあり、そんな知的で静かな風情を好む方におすすめしたい温泉地です。
アクセスは別府温泉同様、博多や福岡空港からの高速バスが発着しており、また博多駅発の「特急ゆふいんの森」も停車します。大分空港からもバスで1時間弱と行きやすいです。
1-4 長湯温泉(大分)

大分県の中央部にある竹田(たけた)市の長湯温泉も、個性的で独自のスタイルがあり、ファンの多い温泉地です。豊肥線の豊後竹田駅からバスで約50分の山あいに、15軒ほどの宿が点々とある小さな温泉地で、隠れ里の趣があります。
ユニークなのは珍しい炭酸泉が湧出し、「日本屈指の炭酸泉」をうたっていることです。通常は適温まで熱を加えるので炭酸が飛んでしまいますが、共同浴場「ラムネ温泉館」の加温していない源泉風呂に入ると、体の表面にびっしり気泡がついて、炭酸水の中に身を沈めているような爽快感を味わえます。川中の露天風呂「ガニ湯」のほか、「御前湯」「万象の湯」「長生湯」「満天湯」などの共同浴場があり、湯めぐりも楽しめます。宿は老舗の「大丸旅館」や系列の「B・B・C長湯」などがあります。後者は私設図書館を併設し、食事は朝食のみで夕食は外で食べてもらおうという、長期滞在をイメージした施設になっています。
炭酸泉を使った温泉療養のあり方をヨーロッパの温泉地に学び、滞在型の温泉療養地を目指しているのも、ほかにはない試みです。2019年にオープンした「クアパーク長湯」は、水着で入る運動浴槽と歩行湯を備えるバーデゾーンのほか、レストラン棟や宿泊棟を備え、長期滞在に向きの療養・保養施設になっています。プチ湯治に興味がある人や連泊でリフレッシュしたい人におすすめの温泉地です。
1-5 武雄温泉(佐賀)

1300年以上の歴史があると伝わる佐賀県武雄(たけお)市の武雄温泉で最近話題となったのは、2022年の西九州新幹線・武雄温泉駅の開業でした。新鳥栖-武雄温泉駅間はまだ開通していないので、博多方面から長崎方面へ向かう人たちは、この駅のホームで在来線特急を降り、対面式で西九州新幹線に乗り換えます。
武雄温泉駅から徒歩15分のところにある楼門が武雄温泉のシンボルです。竜宮城を思わせる朱色の門は、東京駅丸の内駅舎を設計した辰野金吾(たつのきんご)が手がけたもの。門をくぐった先にはアルカリ性単純温泉の湯を楽しめる公衆浴場「元湯」「蓬莱(ほうらい)湯」「鷺乃(さぎの)湯」と、貸切風呂「殿様湯」「家老湯」「柄崎(つかさき)亭」があります。このうち明治時代築の「元湯」は現役の温泉施設の建物としては日本最古で、温泉好きなら必見です。また総大理石造りの「殿様湯」は江戸時代に藩主の鍋島氏専用の風呂として造られたもので、大名気分で湯につかるのもよいでしょう。宿は大小のホテルや旅館、ペンションなど20軒以上あります。
観光は、ツツジの名所の御船山楽園や、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する日本初の公民連携の図書館、武雄市図書館が見どころです。また武雄焼や有田焼の窯元が近く、ショップも多いことから、民芸品好きの人は武雄温泉を拠点にめぐるのもおすすめです。
1-6 嬉野温泉(佐賀)

佐賀県嬉野市の嬉野(うれしの)温泉は佐賀県を代表する名湯として知られています。ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉の温泉は、いわゆる重曹泉で、肌の余分な皮脂を落とし角質化した皮膚をなめらかにすることから「美肌の湯」と呼ばれています。肌に優しい泉質にこだわる人にはおすすめしたい温泉地です。
西九州新幹線で一駅隣にある武雄温泉と並んで歴史が古く、『肥前国風土記』(713年)に「東の辺に湯の泉ありて能く人の病を癒す」と記されています。嬉野川沿いに約30軒のホテルや旅館が立ち並び、江戸時代にドイツ人医師シーボルトがこの地を訪れたことから、「シーボルトの湯」と名付けられた洋風建築の公衆浴場がシンボルになっています。名物の温泉湯どうふ、嬉野茶も味わいましょう。
2.旅行ツアーを利用して九州の名湯へ
九州の温泉旅行を計画しているものの、手配が面倒な人やおすすめ宿を知りたい人は、旅行会社の企画ツアーを利用するのも一案です。読売旅行では、各温泉地への交通と宿泊代、現地でのオプショナルツアーなどがセットになった旅行商品を用意しています。ぜひご活用ください!
後編に続く
九州名湯10選 後編
黒川温泉(佐賀)
雲仙温泉(長崎)
霧島温泉郷(鹿児島)
妙見温泉(鹿児島)
指宿温泉(鹿児島)
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とりっぷナビ編集部


























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