7月1日(金)
北緯90度北極点到達!(-1℃)
日付が変わった深夜00:15(ムルマンスク時間02:15) 北緯90度、北極点到達です!既に前甲板にお集まりのお客様は汽笛を合図にシャンペンで明るい白夜の極点到達を祝いました。出身国の国旗を振る方、持参の小型GPSで90.0000Nを確認してニンマリされる方、抱き合って喜ぶ方などとても感動的な瞬間でした。北極点に到達したのは歴史上わずか3万数千人との事。白夜で無風状態の北極点では極点印の周りに輪になって船長のスピーチを聞いた後、世界一周ダンスを楽しみました。元気な方は船尾近くの海氷の浮かぶ海に飛び込み、後日極点水泳の証明書をもらわれた方もいらっしゃいました。数時間後、私たちは北上航路とほぼ同じ航路を辿って南下を始めました。午前中はしばし昨夜からの北極点到達の興奮を噛み締めて身体を休める方、北緯90度のゴム印を絵葉書や日記帳に押される方などでとても静かでした。午後の北極講座では50イヤーズ・オブ・ヴィクトリー号の砕氷方法についての話を聞きました。北極点到達記念夕食会(ガラ・ディナー)はフォアグラの前菜からスープへ、そして口直しのライムシャーベットの後はエビかビーフのメインコース。極め付きは「南からのお客様」と名づけられたメレンゲとチョコレートで出来たペンギンがサバランの上に乗ったデザートでした。
7月2日(土)
フランツ・ヨーゼフランドに向けて南下(気温-1℃)
北上した際に割った海氷を辿りながら南下しています。氷の上にはたくさんのホッキョクグマの足跡が見え始めました。北極講座ではもっと良い写真にするためのヒントやフランツ・ヨーゼフランドの地質学を、そして北極に対するロシア政府の考え方などを学びました。船は一路フランツ・ヨーゼフランドに向けて10ノット以上のスピードを保っています。
7月3日(日)
フッカー島(フランツ・ヨーゼフランド 1℃)
昨晩から北上したときに通ったブリティッシュ海峡を南下し、フランツ・ヨーゼフランド南部のフッカー島の西部にあるティカヤ・ブクタ(静かな湾)に着きました。フランツ・ヨーゼフランド随一の美景で知られるここには湾の一方にある、群島最大の海鳥繁殖地ルビニ・ロックともう一方にあるソ連時代の観測基地跡が目的です。本船は超微速全身で、海の底から隆起した玄武岩の断崖であるルビニロックに最接近し、およそ15000羽のハシブトウミガラスと5000羽のミツユビカモメ、そしてシロカモメやハジロウミバトの子育て風景を事前の北極講座で学んだ情報とイヤホンガイドでじっくり観察していただきました。
1963年まで使用されたセドフ基地は現在、夏季だけ生物観測隊が活動をしていますが、今年は3名の観測隊員をシーズン最初の船である私たちの船で運んだのです。湾内を出入りする低い霧雲の間をぬってヘリコプターがやっとその3名を基地に運んだ後は再び霧が立ち込めてしまいました。昼食後も晴れてこないため、さらなるワイルドライフを求めて定着氷沿いに西に移動する事にしました。その選択が的中して、母グマと生後6ヶ月程度のかわいらしい小熊が氷山の影から現れてくれました。船のごく近くでバンザイをしてくれたり、母親が氷の間を飛び越えるのに一生懸命付いて行こうとするかわいらしい小熊の様々なしぐさに私たちは魅了されてしまいました。 さらに夕食直前には丸々太った雄のホッキョクグマが氷の上で昼寝をしているセイウチのグループに忍び寄ろうとしているのを見つけました。やがてセイウチは海に入ってしまいましたが好奇心からか、何時までも船の近くで顔を出していました。残されたホッキョクグマも船のすぐ前をゆったり行ったり来たりして、午後遅くの太陽光線の中でとてもドラマチックな写真が取れたとの話をお聞きしました。
今日の夕食はロシア風です。ウォッカとキャビアから始まり、ペルメニ(ロシア風水餃子)、ボルシチやビーフストロガノフのロシア風メニューは民族衣装を着たウェイトレス達がサービスしてくれ、私たちのテーブルをサービスしてくれる美人ウェイトレスと写真を撮られる方の多かったこと!同乗のロシア人乗客と共にロシア民謡を歌ってくれ、北極点クルーズ最後の訪問地フランツ・ヨーゼフランドと氷の世界を離れるのにふさわしい宴でした。
7月4日(月)
バレンツ海を南下(気温1℃)
夜の間に氷海から抜け出して青い海原を追い風に押されながら19ノットで南下しています。厚い多年氷に囲まれた高緯度北極に比べて、依然として北極圏内ではあってもカリブ海かと思えるほどの海の明るさです。北極講座では午前中に北極海のクジラについてと北極海の資源開発について、午後にはエクスペディション・リーダーであるローリー・デクスターが経験した北極海スキー横断探検行の話を聞きました。午後6時からは恒例の世界動物保護基金ホッキョクグマ保護のためのチャリティーオークションがありました。初の北極点観光クルーズ(1991年)の際の記念スタンプのある封筒や今回の航路や船長などのサイン付き海図などがオークションされ、合計2万3千ドル余りが寄付されました。
7月5日(火)
ムルマンスクに向けて南下(気温6℃)
今日は最後の航海日です。下船案内、地球の温暖化についての北極講座の後、午後の最後のリキャップでは乗客の皆様による腕自慢の写真やスタッフが撮ってくれたスナップ写真を編集したDVDのスライドショー試写会がありました。同じ写真とお客様が投稿して下さったそのほかの写真も日程表やワイルドライフ観察リストなどと共にDVDに収められて下船までに皆様のお手元に届けられました。お客様は返却されたパスポートに北緯90度のスタンプを押されています。ここまで南下してくると外気も暖かく感じられ、22:30頃には外が少し暗くなり始めました。船長主催のさよならカクテルと夕食会では船長とエクスペディション・リーダーに乗客全員から自然発生的に満足と感謝の拍手が湧き上がりました。
7月6日(水)
ムルマンスクで下船⇒ヘルシンキ
深夜にパイロットが乗り込み、満ち潮にあわせてフィヨルド内にあるムルマンスク港に入港です。早めの朝食後、世界最強の砕氷船とお別れしてムルマンスク空港から再び熱波(27℃)のヘルシンキに戻りました。午後の自由行動の時間には駅やマーケットへ行かれたりホテル内のエステを試されたりした方がありました。本クルーズ最後の夕食はおいしい日本料理のコースで締めくくりました。
7月7日(木)
ヘルシンキ⇒帰国便
北極点クルーズ日程最後の日は出発までヘルシンキ市内観光です。岩の教会、マーケットやシベリウス記念公園などの観光の後、グリーンベルトの美しいエスプラナーディ通りを見下ろすサヴォイレストラントでエレガントなフランス風スカンジナビアお魚料理の昼食をとった後、空港へ。チェックイン、出国手続きそして税金払い戻し手続きを経て出発ゲートからほぼ定時にフィンランド航空直行便で日本へ。
7月8日(金)
日本到着
約9時間半で成田空港着。大変お疲れ様でした。北極点クルーズは十分お楽しみいただけましたでしょうか。またいつか読売オーシャンクルーズでお会いするのを楽しみにお待ちしております。お気をつけてお帰りくださいませ。
添乗員日記担当