6月30日(日)
日本⇒ヘルシンキ
日本とヨーロッパを最短で結ぶフィンランド航空の直行便で成田からヘルシンキへ。
ホテルはヘルシンキ国際空港ターミナルに隣接する唯一のホテル、ヒルトンホテルでしたので徒歩にてご移動いただきました。今クルーズのコーディネーターの保阪さん と合流し、ホテル内の「レストラン・GUI」にてサーモンの夕食をおとりいただきました。明日のムルマンスク行きのチャーターフライトが早朝発ですので早めに休み ました。
7月1日(月)
ヘルシンキ⇒ムルマンスク⇒市内観光⇒50イヤーズ・オブ・ヴィクトリー乗船
ホテルを徒歩にて4時に出発。荷物はポーターによりチェックインカウンターまで運ばれますので手荷物だけを持ち空港へ。空港は早朝でしたのでとても空いていました。
フィンランド航空の早朝チャーター便で約1時間半、北緯68度北極圏最大の都市、ロシアのムルマンスクへ。入国審査には時間を要しましたが、予想していたほどではなくホッといたしました。気温はなんと26℃。7月の平均気温が13℃ですので驚きです。
乗船までの時間を利用してムルマンスクの観光。現地のガイドはユバさん。ナチス・ドイツと戦った兵士を記念して作られた高さ40mの「アリョーシャ」の像や、昨年完成したムルマンスク初の女性の像、青空に映える聖二コラ教会などの市内観光後、いよいよ世界最強の砕氷船が待つムルマンスク港へ。桟橋からタラップを上り乗船。
一旦お部屋に行き手荷物を置いていただきビュッフェの昼食です。お部屋に入ると、窓が開けられ扇風機が回っていました。こんなに暑いことはめったにないのでしょう。今回は我々日本人を含めた24カ国123名で北極点に向かいます。満潮にあわせて船は夕刻出港いたしました。
歓迎オリエンテーションでは探検隊長とそのチームの紹介がありました。隊長のローリーはかつてロシアから北極点に到達しカナダまでスキーとソリで横断した経験を持つ探検のエキスパートです。その後防寒パルカを受け取りこれからの寒さに備えます。今日は深夜の起床から長い1日でしたので早めに夕食が用意され、明日に備えて早めにお休みいただきました。とは言っても白夜でいつまでも明るいのと興奮とでゆっくりお休みいただけましたでしょうか?
7月2日(火)
バレンツ海を北上
(北緯73度59分)気温6℃
波は全くなく、船は滑るように快適にバレンツ海を北上しています。
午前中は乗客全員参加で極地における安全に関する説明会が行われ、その後避難訓練。実際に救命ボートにも乗り込んで窮屈さも体験しました。船内での北極講座や重要行事はコーディネーターの保阪さんが同時通訳で案内をしてくれますので言葉の心配はなく安心です。午後は隊長からヘリコプター搭乗に関する説明会がありました。快適に北極点を目指す旅行とはいえ探検旅行です。安全に関する説明会はしっかり行われます。その後スポーツジムにてゴム長靴の配布。
夕方には船長主催の歓迎カクテルパーティーが行われました。大柄でひげをはやし、いかにもという貫禄の船長をはじめオフィサーが紹介されました。その後、ウェルカムディナーです。私達の食事は4名のオーストリア人シェフと1名のマレーシア人シェフが毎日提供してくれます。メインコースは毎日肉、魚、ベジタリアンの中から選べるほか、サラダ、スープ、そして果物などをビュッフェテーブルから自由に取れるようになっています。今回のお客様は日本人をはじめ中国、マレーシアなどアジアのお客様が多いせいか毎日アジアンディッシュとしてオリエンタルな食事やご飯、お味噌汁も用意されていました。またこのクルーズではワインやビールなどのアルコール飲料をはじめ炭酸のソフトドリンクが無料というのもいいですね。
7月3日(水)
北極海を北上⇒(フランツ・ヨーゼフランド通過)
(北緯80度04分)気温0℃
今日も朝からよい天気で揺れひとつない快適な航海が続いています。船内ではノーム先生による「大陸移動」、ミコ先生による「ホッキョグマ」などの北極講座が行われました。
昼頃、フランツ・ヨーゼフランドに接近、流氷と初遭遇です。さらに同群島中央部分のブリティッシュ海峡を進みます。船は厚さ70cmから120cmの一年氷の中をいとも簡単に走り抜けています。押し割られた海氷が船尾のプロペラを傷めないよう、水面下の船体両側面からは圧搾空気が噴出させているのでラムネ味のアイスキャンディーのような色をした氷は勢いよく動いています。
夕方5時頃「ホッキョクグマ発見」の放送が入りました。今航海中初の遭遇でしたので皆様大急ぎでデッキに出られ写真を撮られました。砕氷船は小回りがききますのですぐに減速、バックしゆっくりとホッキョクグマに近づきました。少し遠目でしたが氷の中、ゆっくり歩く真っ白な姿を見ることができました。その後1時間ほどして6時頃再び「ホッキョクグマ発見」の放送です。今度は船から漂う夕食準備のおいしそうなにおいを嗅ぎつけてか、船にどんどん近づいてきました。氷から氷に飛び移ったり、前足をだらんとしてお腹を氷につけたり、お腹空いたよなんか食べるもの頂戴とダダをこねているように仰向けになって転がったりしています。船に最接近したときには何か食べるものを与えてあげたい気持ちになりましたが、残念ながら野生動物にはできません。20分ほど船の近くにいましたがあきらめた様子で遠ざかっていきました。40分ほどして本日3度目の「ホッキョクグマ発見」の放送です。あまりに頻繁な遭遇となりましたので皆様大忙しの夕方となりました。
夜9時頃は左舷側に大きな流氷を見ながら船は北上して行きます。
7月4日(木)
北極点に向けて北上
(北緯85度00分)気温-2℃
船は厚さ110cmから120cmの一年氷の中を今日もいとも簡単に走り抜けています。空は曇っています。
今日は午前中、北極点での熱気球体験のオプショナルツアーの説明会です。参加を希望されているお客様はこの説明会に参加されないと申し込むことはできません。乗り方の諸注意や熱気球を3点で固定すること、風や霧などの気象条件により実施できない場合があることなどの説明がありました。
午前中のノーム先生の北極講座を受講していると突然ヘリコプター観光開始の放送が流れました。それまで曇っていましたが天候が良くなったので急遽実施するとのことでした。事前にヘリコプター搭乗の班ごとに呼ばれます。私達読売旅行の班は幸運にも1番最初に呼ばれました。急なことでしたが、皆様防寒対策の準備をしてご集合いただきました。5人乗りのヘリコプターでしたので5人ずつ後方のヘリコプターデッキに移動です。青空がきれいなうちに上空から景色を見たいと心があせりますが、事前の説明に従い落ち着いて斜め前方から左右に分かれてヘリコプターに乗り込みました。飛び上がったヘリコプターは右から左から正面からと我々の船の周りを飛んで氷を割りながら進む砕氷船の様子をしっかりと見せてくれました。短い時間でしたが興奮のひとときでした。この後順番に夕方までヘリコプター観光が続きました。
本日昼食後のエンジンルームツアーは私たちの番です。まず船長の応接室で船の図を見ながら説明を受けた後、砕氷船“50イヤーズ・オブ・ヴィクトリー”の心臓部へ。コントロール室や動力室また海水を真水にする装置などを見学しました。船はさらに北進します。
北極点に向かうには海の神様ネプチューンに許可をもらい、北極点への鍵を受け取らなくてはなりません。夕刻、ネプチューンが家来を引き連れ船首に現れました。船長と探検隊長は素敵な贈り物をして北極点への大きな鍵をもらいました。私たちもネプチューンの家来から注射器でウォッカをいただき無事許可を得ることができました。盛り上がったところで今晩はトップデッキで北極バーベキュー・ディナーです。もちろん白夜ですかディナーといっても昼間そのもの。日差しが強いので全然寒くありません。周囲を氷の海の景色を眺めながら、ワインを片手にいろいろな種類のソーセージやステーキ、温かいスープと最高でした。
7月5日(金)
北緯90度。北極点到達
(北緯90度00分)気温-1℃
朝7時30分。北緯87度50分、北極点まであと240kmとの放送がはいりました。氷も一年氷から多年氷に変わり氷の厚さも220cmから250㎝と厚くなってきました。北極点には何時頃到着できるのか興味深々です。夕方だろうという方、深夜ではという方もいらっしゃいました。
午前中は探検隊長ローリーから北極点到達とその後のプログラムについての説明がありました。午後には氷がさらに厚くなってきており氷を砕く音がかなりすごくなってきました。レストランは船の前方にあるのでその衝撃はかなりのものです。船の上下動もすごくなってきました。グラスから水が真上に飛び出るくらい揺れます。そうかと思えば急に静かになり、そしてまたすごい音と衝撃が続きます。これは一回で氷が割れない時に、一旦船をバックさせ勢いをつけて氷に乗り上げ氷を割る“チャージング”のためということでした。北極点到達は夕食後のようです。さあカウントダウンが始まりました。探検隊長ローリーが操舵室からカウントダウンの放送を続けます。あと4マイル。あと3マイル。あと2マイル。
皆様船首甲板に集合です。21:58(ムルマンスク時間23:58)北緯90度、北極点到達です!既に船首甲板にお集まりのお客様は汽笛を合図にシャンペンで明るい白夜の極点到達を乾杯で祝いました。ご自分の国旗を振る方、記念撮影をされる方、自分の周りをくるっと回って世界一周される方、いろいろな国の方が参加されていましたが、みなそれぞれにまたはいっしょに北極点到達の喜びをかみしめていらっしゃいました。気が付くともう深夜です。世界各国から参加された多くの方がいつまでも余韻に浸っていらっしゃいました。船はバックして明日の上陸ポイントを探します。
7月6日(土)
北極点に上陸
(北緯89度48分)気温-3℃
今回の旅行のハイライト。地理学上の北極点の氷の上に降り立ち、北極点到達の祭典を楽しみます。
私達が安全に上陸できるよう、船長が分厚い氷に船を停泊させました。探検スタッフによるチェックも終わりいよいよ北極点上陸です。この氷の下は深さ3000m以上の北極海というのが不思議な感じです。まずは北緯90度の標識の周りに乗客全員で輪になり船長のスピーチを聞いた後記念撮影です。世界中探しても北極点に到達した人はほんのわずかです。かつて探検家達が命をかけて挑んだ北極点の氷の上に立っていると思うと感動もひとしおです。まずは思い思いに北極点の氷の上を散策です。船の舳先からたらされたロープを背負って砕氷船を引っ張るようなポーズで写真を撮ったり、氷の上に降ろされたいかりで記念撮影をして楽しまれていました。その後、北極点大飛び込み大会がはじまりました。
世界各国のお客様が参加されています。もちろん我々日本人グループのお客様の中からも3名の方が参加されました。お客様が日本から持参された焼酎をふるまってくださり、北極点の氷で割って乾杯。ランチは氷上でバーベキューです。北極点の氷上で食べる食事はまた格別です。午後は探検隊長ローリーと氷上ウォークを楽しまれた方もいらっしゃいました。
添乗員日記担当