11月1日(土)
成田→アムステルダム→ブカレスト
さあ、皆様の浪漫の旅がスタート!ご旅行をお申し込み頂いてから、この日を楽しみに首を長くしてお待ちになっておられたことでしょう。成田空港の滑走路からKLMオランダ航空862便にて、これから始まる未知の世界と人々との出会いに心を躍らせながら大空へ飛び立ちました。世界中に羽ばたく乗客で賑わったアムステルダムの空港で乗り換えをして、ルーマニアの首都ブカレストに無事到着しました。興味津々にバスの車窓から寝静まる街中を眺めていると、街中にパリにいるかと錯覚するような大きな凱旋門が聳え立っていました。ホテルに到着した時には安堵感に包まれ、明日からの観光に胸を弾ませながらお休みになられました。
11月2日(日)
ブカレスト(ルーマニア)
ホテルを出発して早速、ルーマニアの歴史の舞台に飛び込みました。大群衆を目の前にチャウシェスク大統領が最後の演説を行った旧共産党本部、献身的にお祈りを捧げる信者であふれるルーマニア正教の総本山のパトリアルカル教会、故チャウシェスク元大統領の野望の塊で夢幻の情緒を添えている未完成の宮殿「国民の館」、噴水と並木道が印象的でシャンゼリーゼ通りを思わせる統一大通り、18~19世紀のルーマニア各地の建物が並ぶ農村博物館・・・と今までまったく知らなかった世界をご自身の眼で見て肌で感じられました。その後バスで船が待つオルテニアに向かい、心地よい緊張感の包まれながら豪華客船バイキング・ネプチューン号にご乗船になられました。
11月3日(月)
シリストラ/ヴァルナ(ブルガリア)
異文化との出会いに心をくすぐられながら、シリストラからヴァルナへと長閑な田舎道をバスに揺られました。車窓から荷台を曳くロバと男性の姿を目にした際には、「もし、自分がこの国で生まれていたらどんな人生を送っていただろう」という言葉がふと頭を過ぎりました。ブルガリア第3の都市ヴァルナの考古学博物館には、世界最古の黄金装飾品や紀元前3~4世紀の黄金のイヤリングをご覧になられました。細やかなデザインの素晴らしさは、時空を越えて私たちの心を釘づけにしました。浜辺のユニークな船をモチーフにしたレストランで昼食後、黒海のクルーズをしました。船内では、私たちのアイドルのカタリーナと話が弾みましたね!
11月4日(火)
ルセ/ヴェリコ・タルノボ/アルバナシ(ブルガリア)
ブルガリアで最初に鉄道が開通したルセから、第2次ブルガリア帝国の首都ヴェリコ・タルノボへ向かいました。道中まぶしい黄色の紅葉が美しく、郷愁を誘う風景が果てしなく続いていました。近隣の村のアルバナシでは、寂しげな外観とは裏腹に素晴らしい宗教画の内装を持つナティビティー教会を見学しました。その後、ブルガリアの伝統衣装に身を包んだ若者が、音楽に合わせて踊りながらおもてなしをしてくれました。ヴェリコ・タルノボの自由時間には、ブルガリア名物「バラ製品」のショッピングを楽しまれたり、クラッシックな香りを漂わせた家々の風景を堪能されたり、高台のホテルで優しく穏やかな時間を過ごされたりしました。
11月5日(水)
ヴィディン/ベログラドチック(ブルガリア)
ブルガリアの北西部ヴィディンで、さまざまな歴史と文化が交差したババ・ヴィダ城砦を見学後、ブルガリア有数の景勝地ベログラドチックに行きました。一歩ずつ足を踏みしめながら崖を登り、やっとの思いでたどりついた頂上から見たオレンジ屋根の町並みの絶景や奇岩の自然美にすっかり魅了されました。午後からは自由行動でヴィディンの町を散策されました。桟橋からまっすぐ伸びるメインストリートを歩き、人々の生活風景を垣間見られる市場やブルガリア正教の聖ディミトリイ大聖堂をご覧になられました。
11月6日(木)
アイアンゲート通過
かつては多くの人々が命をかけて挑んで通り抜けてきた難所、現在ではルーマニアとセルビアの国境にある景勝地である「アイアンゲート」を通過しました。両サイドに続く渓谷美は、いつまで眺めていてもあきることがなく、心の贅沢や安らぎが感じられました。船旅でしか出会えない極上の風景は、美しい記憶としてたびたび思い出されることでしょう。ルーマニアについての講義では、カタリーナが子供心に映った彼女の共産党時代の体験談を話してくれました。今宵もレストランでは、お茶目なレストランマネージャーのジェリー、陰の立役者ホテルマネージャーのロイ、私たちの日本語講座の優等生ハンガリー人ウェイターのジジが素敵な笑顔で迎え入れてくれました。
11月7日(金)
ベオグラード(セルビア)
朝ベッドの中で目覚める歓びを感じながら一日をスタートしました。「白い要塞」という意味でバルカン半島の交通の要のため数々の戦闘の舞台になったセルビアの首都ベオグラードの観光をしました。サヴァ川とドナウ川の合流地点、カレメグダン公園の要塞、NATOの空爆の痕跡が残る建物、東方正教系の教会では世界最大級の聖サヴァ教会をご覧になられました。街中には、日本政府による無償援助で提供された黄色いボディーに日本と旧セルビア・モンテネグロの旗が交差しているロゴのバスが走っていました。午後からは、船の厨房見学があり、とても小さなキッチンから滋味溢れる食材を使って乗組員も含め約200人の食事を用意するのは信じがたいものです。
11月8日(土)
カロチャ(ハンガリー)
毎日が驚きの連続!
朝からマレックによるスロヴァキアについての講義があり、サプライズで伝統的な衣装を着て、無邪気にどこかしら夢がある踊りを披露してくれました。午後からの観光では、刺繍とパプリカで有名なカロチャを訪れました。カロチャは、初代ハンガリー王イシュトヴァーン1世によって司教区が置かれたため立派な大聖堂があり、目の前のバロック建築の祭壇を見つめながら胸に響くオルガンの音色を聞きました。さまざまな曲が演奏される中、シューベルトのアベマリアは馴染み深い曲だったのではないでしょうか。パゴダプスタ乗馬センターでは、馬乗りの技術の高さに驚嘆し、童心に返ったかのように目を輝かせながらご覧になられました。
11月9日(日)
ブダペスト(ハンガリー)
「ドナウの真珠」や「ドナウのバラ」と称される美しい景観のハンガリーの首都ブダペストに寄港しました。ネオゴシック様式の国会議事堂、ドナウ川に架かるブダとペストを結ぶ鎖橋、ハンガリー建国1000年を記念して造られ歴代の王や英雄の像が並ぶ英雄広場、ハプスブルク家のフランツヨーゼフ皇帝と王妃エリザベートなどの歴代の王の戴冠式が行われたマーチャーシュ教会、白い石灰岩でできたトンガリ屋根を持つ漁夫の砦と多彩な魅力で溢れていました。また、夜ライトアップされ宝石のような町並みは比類ないほど格別で、私たちの心で珠玉のように輝き続けるでしょう。
11月10日(月)
ブラチスラヴァ(スロヴァキア)
無邪気な笑顔を浮かべながら小さな列車でスロヴァキアの首都ブラチスラヴァを周りました。その後、もともと城壁で囲まれていた旧市街をガイドさんに先導されながら歩きました。1563年から1830年までマリアテレジアを含むハンガリー王の戴冠式が行われた聖マルティン教会、丘の上に聳え立つひっくり返したテーブルのようなブラチスラヴァ城、期待を遥かに超える洗練された建物、街中に佇む滑稽な銅像などをご覧になられました。自由時間には、地元のスーパーで日本では手に入らない珍しいチョコレートやお菓子のお土産を買われました。
11月11日(火)
ウィーン(オーストリア)
「音楽の都」や「森の都」と称されるオーストリアの首都ウィーンは、学問と芸術の中心でヨーロッパ文化の香りを醸し出していました。ハプスブルク家の歴代皇帝の内臓が安置されている聖ステファン教会、パリ・ミラノと並び最高レベルのオペラが上演されるルネサンス様式の国立オペラ劇場、ハプスブルク家が1918年まで約650年間住んでいた王宮、トルコ撃退の総司令官として活躍した英雄プリンス・オイゲン公の夏の離宮ベルベデーレ宮殿をご覧になられました。
自由時間には、グスタフ・クリムトの芸術に浸るひと時を過ごされたり、トラムで街中を周られたり、ウィナーコーヒーに名物のザッハトルテやアップルタルトをお召し上がりになられたり、こうしてはるばる日本から足を運べた幸せをしみじみ実感されました。
11月12日(水)
メルク・リンツ(オーストリア)
すっかり恒例となった朝のストレッチ運動で爽やかな気分で新たな一日が始まりました。イタリアの作家ウンベルトエーコーの小説「バラの名前」の舞台になったメルク修道院では、オーストリアバロックの至宝の黄金の装飾に圧巻!11世紀、バーベンベルク家のレオポルト1世がベネディクト派の修道院を建てたのがはじまりで、かの有名なマリーアントワネットがフランスのルイ16世のもとに嫁ぐ際に、この修道院で一泊しました。夕食後には、多くの音楽家を魅了したリンツの町を散歩し、アントン・ブルックナーが12年間オルガニストを務めた旧大聖堂をご覧になられました。ラウンジでは、地元の演奏家による音楽会がありました。
11月13日(木)
パッサウ(ドイツ)
ドイツの南東部のイン川とイルツ川がドナウ川に流れ込むパッサウの街中を歩きました。旧市街の大聖堂には、世界最大と言われる約1万7000本のパイプを持つパイプオルガンがありました。内部の豪華絢爛なバロック様式の装飾は、素晴らしい天国をイメージし、人々から夢幻の情緒を取り除き必死に生きるように導き続けています。ガラス博物館では、美しいボヘミアングラスなどが3万点収蔵されていて、匠の技で芸術の域にまで昇華していました。夕食の際に、レストランマネージャーのジェリーが私たちのテーブルでスロヴァキアの歌を披露してくれました。お返しに、日本の心「桜」を歌いましたね。
11月14日(金)
レーゲンスブルク(ドイツ)
ナウ河畔にある美しい古都レーゲンスブルクで世界遺産に登録された旧市街を歩きました。天空に向かって伸びている光景が印象的な16世紀に完成したゴシック様式にそびえる大聖堂、カール大帝の時代から帝国議会や諸侯会議が開かれていた旧市庁舎、2世紀に建設されたドイツ最古の石橋などをご覧になられました。自由時間に思い出の品を買われた方は、それを見るたびに今回のご旅行を思い出されることでしょう。夜はクルーズの終わりを告げるベークドアラスカのパレードがありました。心優しくホスピタリティーにあふれ、澄んだ笑顔が素敵なジェリーとジジと旅の思い出の1ページを飾る記念写真を撮りました。
11月15日(土)
ニュルンブルク(ドイツ)
ワグナーの歌劇「ニュルンブルクのマイスターシンガー」で歌われたニュルンブルクでは、ナチスの負の遺産、ドイツの戦争指導者が裁かれたニュルンブルク裁判所、ドイツルネサンスの偉大な画家アルブレヒト・デューラー・ハウス、ゴシック様式の聖ロレンツ教会などをご覧になられました。自由時間には、本場のビールとソーセージで乾杯されたり、クリスマスマーケットの準備で賑わう広場やお店をご覧になられたり、ガイドブックにはのっていない絶景を発見されたりしました。夜、荷造りをする心境が複雑。お世話になったクルーメンバーと最後のお別れの挨拶。1つ1つの縁・・・地球上にこんなにたくさんの人がいる中で、出会えて本当によかった!皆様出会いを大切にしましょうね。
11月16日(日)~11月17日(月)
ニュルンブルク(ドイツ)→アムステルダム→成田
いよいよ下船日。何度も後ろを振り返り、後ろ髪がひかれる思いでバイキング・ネプチューンと最後のお別れ。ニュルンブルクの空港より、日本へたくさんの思い出と一緒に飛び立ちました。クルーズのご旅行の余韻に浸りながらの空の旅おつかれさまでした。皆様、お帰りなさい!黄金の国「ジパング」へ・・・。
次の航海はいつでしょうか。また、新たな夢の世界が皆様をお待ちしています。それでは皆様お元気で・・・さようなら
添乗員日記担当