
その歴史は中世まで遡るドイツのクリスマスマーケットは、各都市でアドベント(※)と呼ばれる時期に行われます。なんとその数2500以上。マーケットではクリスマスを祝うための飾りやおもちゃなど、プレゼントにぴったりの品々が並び、ホットワインや焼き菓子といった名物を楽しみながら巡ります。日照時間が短く、暗く閉ざされる時期に、クリスマスマーケットのきらびやかな明かりや活気が、そこに集う人々に明るい希望を与えてくれます。
(※)アドベントとはクリスマスの約4週間前からクリスマスイブまでの期間のこと。キリスト教において、イエス・キリストの誕生を待ちわびる期間とされ、「待降節」とも言われます。12月1日~24日までの小窓が付いた「アドベントカレンダー」を使い、クリスマスまでの日々をカウントダウンしながら、マーケットに出かけたり、クリスマス菓子のシュトレンをひと切れずつ食べたりして過ごします。
1.ドイツの3大クリスマスマーケット
アドベントの時期にはドイツ各地で2500ものクリスマスマーケットが開かれますが、 歴史が古い、知名度が高い、規模が大きいなど、押さえておきたい有名どころのクリス マスマーケットをご紹介します。

1-1 シュトリーツェルマルクト【ドレスデン】

1434年から続く、ドイツ最古のクリスマスマーケットの一つ。クリスマス菓 子・シュトレン発祥の地にちなみ「シュトリーツェルマルクト(=シュトレン市)」と呼ばれています。第2アドベント(クリスマスからさかのぼって3週前の日曜)前日の土曜には、巨大なシュトレンを載せた山車(だし)が練り歩 く「シュトレンフェスト」も開かれます。ドレスデンのシュトレンを名乗れる のは、ドレスデンおよび近郊で通年生産され、小麦粉の量に対しバターの量は 50%、レーズンの量は80%で作るなど厳格な決まりがあります。シュトレンのほかにも、プルスニッツのペッファークーヘン(焼き菓子)や、エルツ山地の手工芸品、プラウエンのレース細工、フライベルクの錫(すず)細工など、旧東ドイツ時代の伝統工芸の数々も見逃せません。
1-2 クリストキンドレスマルクト【ニュルンベルク】

ドイツで最も有名なクリスマスマーケット。中世の面影が残る旧市街で開か れ、マーケットのオープニングには、フラウエン教会のバルコニーに「クリス トキント(天使)」が現れ、開会の辞を述べます。この様子はドイツ国内のニ ュースで放映され、クリスマスマーケットとアドベントの始まりを知らせて くれるのです。マーケットに軒を連ねる屋台は180を超え、クリスマスの装 飾品やろうそく、おもちゃ、手工芸品などが所狭しと並びます。ニュルンベル クの名物といえばレープクーヘン(焼き菓子)。中でも小麦粉の代わりにナッツを主原料とした「エリーゼン・レープクーヘン」は、レープクーヘンの中でも最高級品とされており、「デュル」などの市内のパン店で購入できます。
1‐3 シュトゥットガルト

ドイツで最も規模が大きいとされるクリスマスマーケットで、シュロス広場、シラー広場、マルクト広場、カールス広場を会場に、300を超える屋台が立ち並びます。出店者による屋台の装飾コンテストも行われ、より一層華やかで明るい雰囲気に包まれます。シュロス広場に隣接する旧宮殿の中庭では、クリスマスマーケット期間中、毎夜、コンサートも開催されます(入場無料)。ぜひ食べたい名物は「マウルタッシェン」。小麦粉で作った皮に肉や野菜を詰めて茹でたもので、見た目はまるで水餃子。チーズをたっぷり絡めたパスタ料理「ケ―ゼシュペッツレ」や、ドライフルーツたっぷりの黒パン「フッツェルブロート」もお忘れなく。
2.まだまだある!ドイツの人気クリスマスマーケット
3大クリスマスマーケット以外にもドイツ各地には魅力的なクリスマスマーケットがまだまだあります。その土地ならではの魅力あふれ、特徴のあるクリスマスマーケットをご紹介します。
2-1 アウグスブルク
「黄金の間」で知られ、ルネサンス様式の傑作と言われる市庁舎前の広場に、130ほどの屋台が並びます。アウグスブルクのクリスマスマーケットの目玉は、週末の18時に始まる「エンゲルシュピール(天使の演奏)」。天使に扮した子どもたちが市庁舎の窓辺でクリスマスの音楽を奏で、会場一帯には幻想的な雰囲気が広がります。
2-2 ローテンブルク

城壁に囲まれた中世の町並みが広がるローテンブルクのクリスマスマーケットは、まるでおとぎ話の世界のよう。規模は小さめながら、500年もの歴史があり、旧市街の街並みに合わせたシックな雰囲気が魅力です。屋台でのおすすめ料理はマジョラムというハーブが利いたフランケン風焼きソーセージや、ローテンブルクが発祥とされる揚げドーナツのシュネーバル。地酒のフランケンワインを使った“白い”グリューワインもこの土地ならではの逸品です。
2-3 ミュンヘン

その起源は14世紀にまで遡ると言われるミュンヘンのクリスマスマーケット。大きな仕掛け時計のある新市庁舎が目印のマリエン広場で開かれます。クリスマスのオーナメントやろうそくが充実しているほか、イエス・キリスト誕生のシーンを表現した手工芸品「クリッペ」の品ぞろえも豊富です。新市庁舎前にそびえる高さ26メートルものきらびやかなクリスマスツリーも見どころ。マリエン広場近くのヴィッテルスバッハ家の宮殿「レジデンツ」の中庭でもクリスマスマーケットが開かれます。
3.クリスマスマーケットで楽しみたいグルメ
ドイツのグルメといえば、ソーセージやザワークラウト、ビールなどが有名ですが、クリスマスならではのグルメがあります。クリスマスマーケット巡りの際はぜひ味わってみてください。
3-1 グリューワイン
赤ワインにクローブやシナモンなどのスパイスを加えて温めたホットワイン。体がとても温まるので、クリスマスマーケット散策途中にぴったりです。屋台ごとに異なるさまざまな柄のグリューワインカップで提供され、カップのデポジット(保証金)込みの料金なので、気に入ればカップをそのまま持ち帰ることもできます。カップのコレクションも楽しみの一つです。アルコールが苦手な人にはブドウジュースを使ったキンダーパンチもあります。
3-2 レープクーヘン
はちみつとシナモンやクローブなどのスパイスを入れたジンジャークッキーのような焼き菓子。童話「ヘンゼルとグレーテル」に登場するお菓子の家も、このレープクーヘンで作られています。星やヒト型、ハート型などさまざまな形があり、スノウマンやサンタクロースのアイシングを施している可愛らしいものもあります。
4.ドイツのクリスマスマーケットを訪ねるなら、読売旅行のツアーがおすすめ
クリスマスマーケットはドイツ各地で行われるので、効率の良い旅行プランを立てるのが難しく、交通機関やホテル、観光施設のチケット手配も慣れていないとなかなか大変です。読売旅行のツアーなら、すべてお任せ!手間いらず、かつ安心してドイツのクリスマスマーケット巡りを楽しめます。
とりっぷナビ編集部
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