エジプトは紀元前3000年頃に遡る古代の歴史を持つ国です。中東からアフリカへの入り口に位置し、約100万平方キロメートルの広大な国土を持ち、南北を貫く大河・ナイル川沿いにピラミッドなどの古代遺跡や観光スポットが点在しています。
1. エジプトはどんなところ?
エジプトはアフリカ大陸の北東部に位置し、国土の95%が砂漠で、人口のほとんどがナイル川流域に分布しています。時差は7時間で、日本の方が進んでいます。成田から首都カイロまでエジプト航空の直行便があります。長い歴史と文明を持ち、ナイル川流域には世界的に有名なピラミッドやルクソール神殿、アブシンベル神殿などの遺跡が多くあり、2025年11月には大エジプト博物館がグランドオープンするなど話題も豊富です。
2.エジプトの見どころは?
2-1 大エジプト博物館

大エジプト博物館は、カイロ近郊のギザにある3大ピラミッド近くに国家的プロジェクトとして建設され、25年11月にグランドオープンしました。カイロ市内のエジプト考古学博物館が老朽化したため、その後継施設として02年から構想が進められ、日本の財政面、技術面の支援を受けて完成しました。約50万平方メートルの広大な敷地に、約10万点の文化財が展示される世界最大級の博物館です。展示・収蔵施設、修復センター、図書館などが併設され、エジプト観光の新たな目玉としてだけでなく、研究・教育面でも大きな期待が寄せられています。
館内に入って、まず圧倒されるのが、入り口のグランドホールに屹立するラムセス2世の巨像です。高さ11メートル、重さ83トンのスケールで、古都メンフィスで発見され、カイロのラムセス駅前に設置されていたものを8時間かけて移したといいいます。12の展示ギャラリーの中でも最も注目されるのが、ツタンカーメン専用ギャラリー。世界的に有名なツタンカーメン王の黄金マスクをはじめ、約5400点の副葬品などの秘宝が展示されています。いずれもエジプト考古学博物館から移管されました。
ギザのピラミッド近くで発掘されたクフ王のソーラーボートも見逃せません。約4500年前の木造船で、全長43.6メートルの大きさがあります。こちらも太陽の船博物館に展示されていたものを移設しました。ほかにもプロジェクションマッピングやVR、ARなどの先端技術を活用した古代遺跡の再現・復元なども話題を集めています。
2-2 ギザ

ギザはカイロから約20キロの位置にあり、「クフ王」「カフラー王」「メンカウラー王」の3大ピラミッドがエジプト観光のシンボル的な存在です。古代エジプトを治めていたファラオ(王)の陵墓で、約4600年前に建てられたとされる古代遺跡です。最も大きなクフ王のピラミッドは高さ約146メートル(現在は138メートル)、底辺の長さ約230メートルで、200万個以上の石灰岩を積み上げて造られたと言われます。複雑な内部構造や巨大な石材を用いた建造方法など解明されない謎が多く、「古代世界の七不思議」の一つに挙げられています。内部は有料で見学が可能で、狭い通路を通って石棺が置かれた「王の間」まで行くことができます。

3大ピラミッドの正面に横たわるのがスフィンクスです。人間の頭にライオンの体を持ち、「太陽神」としてエジプトでは信仰の対象とされています。このスフィンクスは長さ73.5メートル、高さ20メートルで、一枚岩の石像としては世界最大とされますが、建造された時期や意味付けなどは分かっていません。過去には砂に埋もれていた時期もあり、何度か修復されていますが、かつて付いていたあごひげは脱落して現在はカイロ博物館と大英博物館に保管されています。
2-3 ルクソール

ルクソールはエジプト中部に位置し、古代エジプトの首都テーベがあった都市です。ナイル川で東西が分かれており、東岸にはカルナック神殿やルクソール神殿など生を象徴する遺跡群があり、西岸は王家の谷など死を象徴する墓地遺跡があります。
カルナック神殿は歴代のファラオが寄進して増改築を重ねた神殿複合体です。現在はその中で最大規模のアムン大神殿だけが一般公開されています。神殿の入り口となる第1塔門が高さ43メートル、幅113メートルと見上げるような大きさです。第2塔門と第3塔門の間にある大列柱室も見どころの一つで、幅102メートル、奥行き53メートルのエリアに16列に配置された134本の巨大な列柱が並んでいます。ルクソール神殿はカルナック神殿のアムン大神殿の付属施設として建てられました。第1塔門の入り口には巨大なラムセス2世の座像が並び、高さ25メートルのオベリスク(記念碑)が建っています。もう1本あったオベリスクはパリのコンコルド広場に移設されています。
ルクソール西岸で最大の見どころが歴代王族の岩窟墓地がある王家の谷です。全部で60か所以上の墓がありますが、長い歴史の中でほとんどが荒らされてしまい、1922年に発見されたツタンカーメンの墓は副葬品などが完全な形で残されていました。別料金がかかる墓は保存状態がよく、美しい壁画や石棺が残されています。
2-4 アブシンベル神殿

アブシンベル神殿はスーダンとの国境に近いエジプト南部にある岩窟遺跡です。太陽神ラーを祀った大神殿と、女神ハトホルを祀った小神殿があり、いずれもラムセス2世によって建てられました。大神殿の正面にはラムセス2世の4体の巨像が置かれています。毎年、2月22日と10月22日の2回、神殿奥まで朝日がさし込み、ラムセス2世像を照らす「太陽の奇跡」が見られます。夜は「音と光のショー」が行われ、人気を集めています。
アブシンベル神殿は1960年代にアスワンハイダムの建設により、元あった場所から移設されたことでも知られています。ユネスコの主導で世界中から約4000万ドルの寄付が集まり、移設が実現しました。このキャンペーンの成功が後の世界遺産条約につながったと言われています。
2-5 ナイル川クルーズ
ナイル川流域のルクソールとアスワンを行き来するクルーズ船で、3~7日間の日程で周辺観光や船内のアトラクションを楽しめることで人気です。沿岸の美しい景色を眺めながらゆったりと快適に移動することができ、効率的に遺跡や名所を回れるのが魅力です。
2-6 カイロ

首都カイロにも見どころはたくさんあります。市内を一望できるのが12世紀に十字軍の攻撃に備えて建設された城塞シタデルです。敷地内のムハマンド・アリ・モスクは19世紀にトルコのアヤソフィアを模して建てられたモスクで、内部も美しいシャンデリアやランプに照らされ、幻想的な雰囲気です。カイロタワーも高さ187メートルで、絶景スポットとして知られます。最上階の展望デッキからは、ピラミッドやナイル川の雄大な景色が広がります。ハンハリーバザールは旧市街にある市場です。狭い路地にひしめき合うように衣類や雑貨などの店が並んでおり、観光客が値段交渉をしながら買い物を楽しんでいます。
2-7 アレキサンドリア

アレキサンドリアの街並み 画像提供:ピクスタ
アレキサンドリアはナイル川が地中海に注ぐデルタ地帯に位置するエジプト第2の都市です。地理的にヨーロッパに近く、町の風景も西洋風のリゾート地の趣があります。ローマ時代の円形劇場や浴場跡、「古代世界の七不思議」の一つ、ファロス灯台の跡地に築かれたカイトベイの要塞、19世紀の王家の別荘・モンタザ宮殿など訪れたいスポットはたくさんあります。
3. エジプト観光で気を付けたいことは?
国土のほとんどが砂漠地帯で気温が高く、日差しも強い夏は観光シーズンには適しません。10~3月がおすすめです。砂漠は朝晩の気温が下がるので、長袖のシャツや上着も用意しましょう。水道の水は避け、ミネラルウォーターを飲み、水分補給はこまめにするよう心がけて下さい。有名観光地では強引な客引きや詐欺まがいの物売りも多いので、被害にあわないように注意しましょう。読売旅行のツアーに参加すればホテルや移動の心配もなく、観光施設の手配などもスムーズなので安心です。
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とりっぷナビ編集部


























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