東アジアの国・モンゴルは、北はロシア、東西や南は中国と国境を接する内陸国です。日本とモンゴルの首都ウランバートルとの時差は1時間で、成田空港などから直行便もあり、日本人にとって比較的訪れやすい国です。そんなモンゴルの観光の見どころをご紹介します。
1. モンゴルってどんなところ?

モンゴルの大半の地域と日本の時差は1時間で、時計は1時間遅れです。モンゴル西部との時差は2時間なので、時計は2時間遅れとなります。大陸性気候で、年間を通じて日本より気温が低く、乾燥した気候です。3月から5月にかけての春には強い砂嵐が発生することがあり、注意が必要です。
観光のベストシーズンは夏です。日中は20度前後まで気温が上がり、日照時間も長いため、大草原の緑や満天の星を快適に楽しめます。
読売旅行のツアー企画担当者の声
私がモンゴルを訪れたのは6月中旬でした。テレルジ国立公園や周辺の乗馬体験など草原の中で過ごした時間は日中でも20℃前後でさわやかで過ごしやすい気候です。ただし朝晩は10℃前後まで下がるので軽いダウンジャケットなどがあると安心です。ウランバートル市内の日中は気温が上がり半袖でも過ごせます。観光地に合わせた服装が必要です。
濃い緑の草原を狙うなら7・8月がおすすめです。6月でも地平線まで広がる大草原と青空のコントラストは圧巻で空を近くに感じます。特に町明かりが届かず、遮るものがない草原で見上げる星空は、日常では味わうことのできないスケールです。星空観賞の翌日、静寂の終わりを告げるように山々の合間から昇る朝日を全身で浴びるのは、とても清々しい気持ちになります。
冬は寒く、氷点下30度を下回ることもあります。首都ウランバートルは「世界一寒い首都」と呼ばれることもあるほどです。それでも、防寒着を整えれば、美しい雪景色を楽しむことも可能です。
日本の約4倍の約156万平方キロメートルの国土の西にはアルタイ山脈が連なり、南は砂漠、東は見渡す限りの草原、北には森林と多彩な景観を楽しめます。人口は約359万人で、モンゴル人が約95%を占め、他にカザフ人などが住んでいます。公用語はモンゴル語です。
1-1. モンゴルの首都「ウランバートル」
首都ウランバートルの人口は179万人を超え、総人口のほぼ半分が集中しています。モンゴルで歴史的に篤く信仰されてきたチベット仏教の寺院が移動式住居「ゲル」のスタイルで転々としていたのが17世紀にこの地に定着、周囲に集落ができ、街に発展していったのがウランバートルの起源です。
中国・清朝の支配下にあった「外モンゴル」と呼ばれる地域では、1911年に発生した辛亥革命で清朝が崩壊に向かう中、「大モンゴル国」の独立が宣言されました。ハーン(皇帝)として君主となったのはチベット仏教の宗教的権威(活仏)だったジェプツンダンバ・ホトクト8世でした。彼は君主として1924年までの間、断続的にモンゴルのトップの地位につきます。
そして同年に彼が死去するとともにモンゴル人民共和国が成立し、ソビエト連邦の強い影響下で社会主義国家の建設が進められました。しかし、同国は90年には複数政党制を導入して、社会主義を事実上放棄。民主化・市場経済化の道を選択しました。
1992年には、新憲法により国名をモンゴル国に変えました。ウランバートル観光ではそんなモンゴルの歴史について知ることができます。
2. モンゴル旅行で知っておきたいこと

2-1. 交通アクセス
成田空港から新ウランバートル国際空港(2021年開港、空港コードUBN)への直行便の飛行時間は、往路(成田発)で約5時間15分〜6時間、復路(ウランバートル発)で約4時間30分〜5時間ほどです。夏の観光シーズンには関西空港からウランバートル国際空港への直行便が運行します。
韓国のソウルや中国の北京を経由する乗り継ぎ便もあります。直行便に比べ、時間はかかりますが、コストを抑えることができる場合があります。モンゴル国内の移動は各地にある空港への国内便や長距離バスが利用できます。他方、鉄道路線は、北のロシア国境から首都ウランバートルを通って南の中国国境までを結ぶ南北縦貫の鉄道路線と、そこから延びる比較的短い支線がいくつかあるだけです。
2-2. モンゴルの基礎知識
日本国籍で日本の旅券を持っていれば、30日以内の滞在ならビザは不要。通貨はトゥグルグで、1円=約23トゥグルグ(2026年8月時点の目安。レートは変動するため、渡航前に最新情報をご確認ください)です。
2-3. モンゴルの文化や慣習で気をつけるべきこと
モンゴルには日本と異なる文化や慣習があり、場合によっては失礼にあたり、相手を怒らせることにもなる行為があるので注意が必要です。
たとえば、帽子は正装の一部と見なされています。ゲルなどに入った時も脱ぐ必要はありません。脱ぐときは、かぶり口を下に向けて丁寧に置く必要があります。帽子を上下逆に置くなどしてぞんざいに扱うのは、モンゴルでは失礼にあたります。
モンゴルでは他人の頭や帽子をさわることは失礼にあたります。頭は人間の魂を宿る場所とされるからです。日本では、子供をほめるときに頭をなでることがありますが、モンゴルでは避けるべきです。
2-4. モンゴルの治安
モンゴルの首都、ウランバートルでは犯罪の発生件数が増加傾向にあります。観光地などではスリや置き引きなどの犯罪が発生しています。また、ウランバートル市内で、正規のタクシーではない、いわゆる「白タク」を利用した際に、運転手からナイフで脅されて現金を奪われたケースも報告されています。
モンゴルで英語が通じるのはウランバートル中心部や一部の観光地に限られるので、言葉が通じないことによるトラブルに注意が必要です。
読売旅行のツアー企画担当者の声
モンゴルは他のアジアやヨーロッパ諸国と比較して、舗装されている道路が少なかったり、公共交通機関も限られているのでツアーに参加すると移動の心配がありません。街中でも英語が通じない場面に遭遇することが多く、ガイドや添乗員のサポートがあると安心です。日本の約4倍の面積を誇るモンゴルを迷わず効率的に巡るなら、添乗員同行ツアーがおすすめです。星空などの自然も楽しむなら現地ガイドがその日の天候に合わせて場所やタイミングを調整してくれることもあります。
特に遊牧民の自宅訪問や文化体験がツアーに含まれる場合は、ガイドさんが暮らしの詳細を説明してくれたり、乗馬体験の安全説明も日本語で聞けるので安心してお楽しみいただけます。
3. モンゴルの代名詞「ゲル」とは?

モンゴルの草原に暮らす遊牧民が、何百年も前から使い続けてきた移動式の住居が「ゲル」です。英語では「ユルト」とも呼ばれ、モンゴルの遊牧文化を象徴する存在として知られています。
3-1. 円形の骨組みと白いフェルトが特徴
ゲルは木製の格子状の骨組み(壁)を円形に組み、その上に屋根の骨組みを放射状に渡して、全体を白いフェルト(羊毛を圧縮した布)で覆う造りになっています。解体・組み立てがしやすい構造になっており、遊牧民は季節ごとの移動の際、ゲルを数時間で解体し、次の場所で再び組み立てて暮らしてきました。
ゲルの内部には中央に2本の柱が立ち、その間にストーブが置かれるのが基本のスタイルです。屋根の中心には「トーノ」と呼ばれる円形の天窓があり、日中はここから自然光が差し込み、暖房を焚いているときは煙の逃し道としても機能します。夜、ゲルの中からトーノ越しに星空を眺められるのも、ゲル泊ならではの体験です。
3-2. 観光客が宿泊するゲル
テレルジ国立公園をはじめ、モンゴル各地のツーリストキャンプでは、旅行者向けに整えられたゲルに宿泊できます。内部にはベッドや小さなテーブル・椅子が用意され、扉や壁にはモンゴル独特の彩色模様が施されています。近年は電気照明やコンセント、暖房ヒーターを備えた「デラックスゲル」を用意するキャンプも増えており、シャワー・トイレ付きの棟が選べる施設もあります。
ゲルは単なる「宿泊施設」ではなく、家畜と共に生きるモンゴル遊牧民の知恵と文化そのものです。昼は見渡す限りの大草原、夜は満天の星と、ゲルに一泊するだけで、モンゴルの自然と伝統的な暮らしぶりを肌で感じることができます。
読売旅行のツアー企画担当者の声
「ゲルに泊まる」と聞くとシャワーやトイレなど水回りの設備がない、あるいは共同で水も貴重であまり使えず、少し不便なイメージがあるかもしれません。しかし先述の通り近年は室内の設備が観光客用に整えられたゲルが増えています。旅行の疲れはしっかり取って、快適な部屋から一歩外に踏み出すと目の前には大草原が広がっています。特にテレルジ付近に宿泊すると亀岩やアリヤバル寺院、乗馬体験などの観光拠点として宿泊したっぷり2連泊ゲルを楽しむこともできます。
インターネットの利用に関してはまだ繋がらない施設が多いですが、デジタルデトックスをして、ぜひ大草原や満天の星空をお楽しみください。各宿泊ゲルではWi-Fiが利用できなくても、レストランのあるメインゲルではWi-Fiが利用できる施設もあります。インターネット環境が必要な方はそのような施設を選ぶと安心です。
4. 首都ウランバートル周辺のおすすめ観光スポット

4-1. スフバートル広場
首都ウランバートルの中心にはスフバートル広場があり、広場の東西にエンフタイワン(平和)大通りがのびています。広場にその名を残すダムディン・スフバートル(1894〜1923年)は、ロシアの反革命派や中国軍に翻弄され続けていたボグド・ハーン政権の独立確保のために戦った革命家で軍人です。広場の中央にはスフバートル像があります。
広場から西にエンフタイワン(平和)大通りをしばらく歩くと、社会主義時代に建てられた老舗のノミンデパートがあり、毛皮製品や刺しゅう、フェルト製品などの土産品の買い物ができます。また、広場から歩いて行ける劇場では、伝統楽器・馬頭琴の旋律、驚異の歌唱法ホーミー、民族舞踊などを鑑賞することができます。
読売旅行のツアー企画担当者の声
スフバートル広場はウランバートルの中心で、後述のチンギス・ハーン博物館をはじめ複数の博物館や美術館がありモンゴルの歴史や文化を知ることができます。またスフバートル広場の周辺は、人気ドラマのロケ地が点在しておりテレビで見たあの場面に実際に立つこともできます。
スフバートル広場自体が結構広いのでイベント会場となったり、市民の憩いの場でもあります。草原や星空、遊牧民の暮らしとは対照的に、政府宮殿など重厚感のある建物や高層ビルに囲まれた首都の雰囲気を味わうことができます。
4-2. チンギス・ハーン博物館

モンゴル高原では古来様々な騎馬民族国家が興亡しました。1206年には軍事的天才のテムジンが皇帝チンギス・ハーンとして即位し、モンゴル帝国を樹立しました。帝国は14世紀にはユーラシア大陸の広大な範囲を支配するに至ります。
スフバートル広場の北側にあるチンギス・ハーン博物館は帝国の皇帝や貴族たちが持っていた工芸品などの膨大な資料を収蔵しており、多岐にわたる収蔵品の見学には相当な時間がかかることでしょう。
4-3. ボグド・ハーン宮殿博物館
ウランバートル中心部の南側には、「大モンゴル国」の君主だったボグド・ハーンが1924年に亡くなるまで過ごした宮殿が現存し、ボグド・ハーン宮殿博物館として、ボグド・ハーンの玉座や所有していた毛皮製品やおびただしい仏教美術品を展示しています。
4-4. ザイサンの丘
ウランバートルの、ボグド・ハーン宮殿博物館よりもさらに南にはザイサンの丘があります。ここからは中心市街地が見渡せます。第二次世界大戦で戦死したモンゴルとソビエト連邦の両国の兵士たちの栄誉を讃える戦勝記念碑があります。
4-5. テレルジ国立公園

ウランバートルから北東へ約50キロ離れたテレルジ国立公園では、花崗岩の巨石である「亀石」などの奇岩や高山植物が楽しめます。公園内には、日本のテレビドラマのロケ地になったホテルや、移動式住居「ゲル」やコテージを備えたツーリストキャンプがあります。ゲルはシャワー・トイレ付きで、昼は大草原、夜は満天の星を楽しむことができます。
ツーリストキャンプは、テルレジ以外のモンゴル各地にあります。ゲルに滞在して、ホルホグと呼ばれる石蒸し焼き料理を食べるのがおすすめです。密封した容器に、骨の付いたままの羊肉を小さく切り、玉ねぎ、ニンニク、ジャガイモ、ニンジンなどを入れて蒸した料理を口にすれば、モンゴルの伝統的な遊牧民の生活ぶりが実感できるでしょう。
4. モンゴル観光に関するよくある質問
Q. モンゴルの観光は危険ですか?
A. ウランバートルでは近年、スリや置き引きなどの犯罪発生件数が増加傾向にあります。
正規のタクシーではないいわゆる「白タク」でのトラブル事例も報告されているため、流しの車ではなく信頼できる配車サービスやホテル手配の車を利用するなど、基本的な防犯対策を心がけましょう。個人旅行に不安がある場合は、添乗員同行のツアーを利用するのもおすすめです。
Q. モンゴル観光のベストシーズンはいつですか?
A. 大草原や満天の星を快適に楽しめる夏がベストシーズンです。
冬は氷点下30度を下回ることもある極寒の地となるため、防寒対策をしっかりした上での訪問がおすすめです。
Q. モンゴル旅行にはビザが必要ですか?
A. 日本国籍で日本の旅券を持っていれば、30日以内の滞在ならビザは不要です。
通貨はトゥグルグで、レートは変動するため渡航前の確認をおすすめします。
モンゴルのゲルツアーで効率的に観光しよう
個人旅行では、自由に行き先を組み合わせることができる反面、様々なトラブルに遭遇する可能性があります。添乗員が同行するツアーであれば、こうした治安面や言葉の不安を抑えながら、各地の観光スポットを限られた日数で効率よく回ることができます。
![]()
とりっぷナビ編集部
























観光情報や旬のイベント、グルメなど旅にまつわる情報を発信しています!