和歌山県は、関西で最も多い501の温泉源泉数を誇り、関西屈指の観光地・南紀白浜にある「白浜温泉」や日本三美人の湯のひとつである「龍神温泉」など、歴史と趣のある温泉地が数多く存在します。本記事では「わかやま12湯」について詳しくご紹介します!
※本記事は(一社)和歌山県旅行業協会の提供によるものです。
1. 山間から海辺まで、多彩なロケーションの「わかやま12湯」
「わかやま12湯」とは、わかやま12湯推進協議会がPRしている、一つの源泉を複数の施設で利用している県内12か所の温泉地の総称です。
自然に囲まれている和歌山県は、温泉の趣も多種多様。古くから熊野道を行く参詣者が身を清めた山間の「湯の峰温泉」や、大海原の絶景が見られる「串本温泉」など、海沿い・山沿いに温泉が点在します。さらに、1500年前に清寧(せいねい)天皇が熊野行幸の際に発見したといわれる「湯川温泉」や、歴代の紀州徳川家藩主や徳川幕府八代将軍・吉宗も訪れた「白浜温泉」など、長い歴史があるものが多いのも特徴です。
それでは、「わかやま12湯」の魅力をそれぞれご紹介!
1 和歌山市温泉郷
和歌山市に点在する温泉と温泉施設の総称が「和歌山市温泉郷」です。
・紀三井寺温泉花の湯
紀州徳川家の祈願所としても名高い西国三十三所の札所・紀三井寺の門前で120年以上前から愛されている温泉です。
・加太淡嶋温泉
和歌山市加太の紀淡海峡・加太湾に面した温泉。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(重曹泉)で、とろみのある湯は美肌効果があるといわれています。適応症は神経痛や間接痛、慢性消火器病、冷え性、肥満など。美しい海と夕陽を眺めながら入湯できる宿泊施設が多くあります。
・花山温泉
泉質は鉄分を含んだ高濃度炭酸泉で、茶褐色のにごり湯は「薬師の湯」として知られています。
・紀州黒潮温泉(日帰り温泉施設)
源泉は1億年前の太古の地層から湧出。露天風呂からは、万葉歌人に愛され、日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」にも認定された和歌浦湾を一望できます。
2 みなべ温泉
日本一の梅の産地であるみなべ・田辺地域にある温泉らしく「梅香丘温泉」という別名を持つ「みなべ温泉」。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(重曹泉)で、とろっとしたお湯が特徴です。適応症は神経痛や筋肉痛、きり傷、やけどなど。岩風呂や檜風呂、オーシャンビューなど特徴のある浴場を持った宿泊施設で温泉を楽しむことができます。
3 龍神温泉
群馬県の「川中温泉」、島根県の「湯の川温泉」と並ぶ日本三美人の湯のひとつ「龍神温泉」。ラジウムを豊富に含むとろみのある重曹泉が肌をなめらかに覆い、保温· 保湿にすぐれた美肌の湯として有名です。その歴史も古く、奈良・飛鳥時代に実在したといわれる修験道の祖・役行者(役小角)が発見し、弘法大師空海が難陀龍王(なんだりゅうおう)のお告げによって開いたという伝説があります。また紀州徳川家初代藩主・徳川頼宣が気に入り、藩費を用いて保護し別荘地として何度も訪れました。頼宣が和歌山城から通った道は「龍神街道」と呼ばれ、現在はドライブコースとなっています。
4 湯の峰温泉
熊野詣の湯垢離場(ゆごりば)として参詣者の身を清めてきた「湯の峰温泉・つぼ湯」は入浴できる世界遺産。自然石をくり抜いた岩風呂で、透明、乳白色、青、緑など、日に7度色が変わるといわれる不思議な湯は、1グループ30分交替制で貸切利用できます。
中世から熊野本宮大社と「湯の峰温泉」を結ぶ熊野古道・大日越ルートがあり、熊野本宮大社まで辿り着いた旅人が疲れを癒す立ち寄り湯として重宝されてきました。湯けむりが立ちのぼる湯の谷川の両脇に温泉宿が並ぶ昔ながらの風情、近くには小栗判官ゆかりの車塚や力石などの史跡も多くあります。源泉である湯元橋のたもとの“湯筒”では温泉卵や温泉で茹でた野菜を味わう楽しみも!
5 渡瀬温泉
昭和期に開発された新しい温泉で、「ささゆり」「やまゆり」の2つの宿、日帰り温泉、コテージ、キャンプ場などの施設が点在するリゾート温泉地です。一度に500人が浸かれる西日本最大級の広さを誇る大露天風呂は、開放感から自然と一体化したような心地良さが特徴。無色透明のナトリウム- 炭酸水素塩泉は皮膚病、リウマチ、神経痛、胃腸病などに効果があるといわれています。
熊野牛やアユ、アマゴに、串本から直送の海鮮など、宿の食事は山海の幸が満載。胃腸にやさしく、滋味あふれる温泉粥は、宿泊の朝食や大露天風呂の食事処でいただけます。
6 川湯温泉
湯けむり立ちのぼる川底から70度以上の源泉が絶えず湧き出し、大塔川の水と混ざり合ってちょうどよい湯加減に。12月~2月には広大な大露天風呂「仙人風呂」で大自然の中の湯浴みが楽しめます。それ以外の期間でもスコップで河原を掘り、周りを石で囲えばマイ露天風呂ができあがり! 夏場は川遊びを楽しんだあとに冷えた体を温泉で温めるのが定番なのだとか。
発見は鎌倉時代。明治初期から湯治場として栄え、現在は川に沿ってホテルや民宿、ペンションなどが並ぶ温泉街となっています。
7 白浜・椿温泉
・白浜温泉
日本三古湯の一つとして知られ、万葉集にも詠まれている「白浜温泉」は、奈良時代以前から有間皇子や斉明・天智・持統・文武四帝が行幸したほか、歴代の紀州藩主や八代将軍・徳川吉宗も訪れました。現在は、崎の湯(露天風呂)をはじめ7つの外湯を楽しむことができます。代表的な泉質はナトリウム-塩化物泉やナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、適応症は胃腸病や神経痛、リウマチなど。白砂のビーチと青い海が美しいリゾート温泉地として多くの観光客が訪れています。
・椿温泉
熊野古道・大辺路を訪れた旅人の疲れを癒やし、湯治の湯として名高い美肌と療養の名湯「椿温泉」。pH10の美肌温泉で、無色透明の単純硫黄泉は石鹸のようなクレンジング作用で、肌の汚れや古い角質を除去。入浴中には肌に油を注いだようななめらかさ、湯上がりはサラリと爽快感が感じられます。
8 すさみ温泉
詩人· 野口雨情が絶賛し、長期滞在した「すさみ温泉」。高台から一望する太平洋の大パノラマは紀南随一、中でも夕陽の時間帯と夜の星空は見応えがあります。宿のひとつ「ホテルベルヴェデーレ」の女湯にはドーム型のバラ風呂があり、夜はドーム天井越しに満天の星を眺められます。魚介の宝庫であるすさみ町はケンケンかつおや伊勢海老をはじめ、季節でハモやクエなど、鮮度抜群の海鮮料理が味わえるのもうれしいポイントです。
9 串本温泉
本州最南端のまち・串本町では、県内屈指の名勝「橋杭岩」をはじめとするジオサイトや、世界最北のテーブルサンゴ群生域など、大地と海が織りなす自然美に触れることができます。美しい大海原を望む絶景の宿からダイバーに人気の立ち寄り湯まで、さまざまな湯処があり、泉質は冷え性に効くといわれる塩化物泉が多いのが特徴です。早朝、空と海を染めながら昇る朝日を露天風呂から眺める…そんな贅沢な時間を過ごしてみては?
10 太地温泉
太地町は古式捕鯨発祥の地。まちなかに鯨骨の大鳥居があり、マンホールや郵便ポストもクジラをモチーフにしたもので、さながら町全体がクジラのテーマパークのよう。くじら浜公園やくじらの博物館で歴史を感じ、イルカやクジラとふれあう体験もできます。「太地温泉」に浸かりながら耳をすませば、イルカやクジラの鳴き声が聞こえることもあるのだとか。
食文化としてもクジラは欠かせません。「花いろどりの宿花游」では、和食だけでなくフレンチベースなどさまざまな調理法でクジラ料理が楽しめ、珍しい部位も食べることができます。
11 湯川温泉
新宮市出身の詩人· 佐藤春夫が名づけ、こよなく愛した湯川湾の潟湖・ゆかし潟のほとりに湧く温泉。アルカリを含む良質の単純硫黄泉がなめらかに肌を整え、適応症は神経痛や筋肉痛など、保養や療養を目的とする人が多い名湯です。約1500年前に、清寧天皇が熊野行幸の際に発見したとの由緒があり、平安時代から室町時代にかけては大辺路を歩く熊野詣の人々を癒やす湯処として栄えました。
日帰り温泉「きよもん湯」は敷地内から自噴する源泉が向かいのゆかし潟にも流れ込むほど湯量が豊富で、源泉掛け流しの湯を堪能することができます。
12 南紀勝浦温泉
和歌山県下一、175本の源泉数を誇る「南紀勝浦温泉」は、単純硫黄泉、含硫黄-ナトリウム-塩化物泉など多様な泉質が揃い、温泉ソムリエのいる宿泊施設も多い和歌山県を代表する温泉のひとつです。波しぶきを間近にする露天や静かな湾内の露天など名物温泉も多く、中でもむきだしの自然を体感できる天然洞窟風呂「忘帰洞」(ホテル浦島)は、紀州徳川家第15代当主・徳川頼倫が「帰るのを忘れさせるほど」と誉めたことから名付けられました。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産となった熊野那智大社や那智山青岸渡寺、那智の滝にも近いため、平安末期には熊野詣の貴族が旅の疲れを癒やしたと伝えられています。
2. 和歌山県の温泉と観光を楽しむならツアーもおすすめ!
いかがでしたか? 和歌山県には趣の違う温泉が多くあり、ほとんどがとても歴史が古く、いにしえより多くの旅人の疲れを癒してきた名湯です。冒頭でも触れたとおり、自然も豊かでスケールが大きく見どころ満載なので、温泉も観光も楽しむなら、その魅力を余すことなく詰め込んだツアーがおすすめです。この機会にぜひ、和歌山県を訪れてみませんか?
本文中クレジット記載のない画像・資料提供:わかやま12湯推進協議会
「わかやま12湯の魅力と特徴」資料はこちらから
とりっぷナビ編集部
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