山口県を代表する観光スポットの錦帯橋。5連のアーチが美しいだけでなく、季節によって変化する見どころがたくさんあります。そんな錦帯橋観光をめいっぱい楽しむための魅力をご紹介します。
1. 錦帯橋とは?
錦帯橋は山口県岩国市の錦川に架かる木造の橋であり、国の名勝に指定されています。江戸時代より引き継がれる巻金と鎹(かすがい)を使った「木組みの技法」は美しく、橋の裏側に見える幾何学的な造形は錦帯橋の大きな見どころになっています。そして、錦帯橋は季節によって移り変わる景観も大きな魅力として、山口県を代表する名所となっています。
錦帯橋の観光にはそれほど時間はかかりませんが、岩国城など周辺のスポットにも訪れたい、ゆっくり散策したいという場合は、3時間をみておくと安心でしょう。橋のアーチ部分はかなりの急勾配なので、雨や雪の日は滑らないよう注意してください。
橋を渡る際は、入橋料を払います。料金所の営業時間は8:00~17:00、観光シーズン中は18:00まで、夏期は19:00までとなっています。24時間入橋は可能ですが、料金所に人がいない時間帯は夜間料金箱に料金を入れて渡りましょう。
2. 錦帯橋の歴史
現在の錦帯橋が完成するまで、先人たちのさまざまな苦悩と努力がありました。橋ができるまでの歴史を知ると、その造形ひとつひとつがより感慨深く感じられるでしょう。その歴史と背景をご紹介します。
創建までの苦悩、背景
元々、橋は作られていましたが、たびたび起こる洪水により何度も流失。両岸の城下町をつなぐ手段は渡り船しかない不便な時代もありました。橋が流失する原因は、当時しっかりとした橋を架ける技術が乏しかったことや、200mという広い川幅、急激な流れになる川の形状などがありました。早くから橋の研究に着手していた第三代藩主吉川広嘉は、たまたま出会った中国の『西湖志』の絵から閃きを得て、5連のアーチ橋を創建することを思いつきました。1673年に橋が完成しましたが、すぐに洪水で流失。その後も改良が重ねられ、架け替えや修繕は100回以上にも及んだと記録されています。翌年(1674)に再建された橋は1950年に台風で流失するまでの間、276年間保たれていました。その後も再建され、現在の橋は四代目にあたります。これからも架け替えや橋板の張り替えは定期的に行われ、江戸時代からの技術が継承されてゆくことでしょう。
3. 錦帯橋の見どころ
錦帯橋の構造は世界的にも珍しく、「流されない橋をつくりたい」という先人たちの情熱から独自の技術進歩を遂げてきました。そんな錦帯橋の押さえておきたい見どころをご紹介します。
造形美
錦帯橋の見どころといえば、その独創的なアーチ構造。アーチの裏側の「木組み技法」は幾何学的で美しく、江戸時代より受け継がれる伝統技術の尊さを感じさせます。河原に下りると下からよく見ることができるので、ぜひ近くで見てみてください。
構造のしくみ
そもそも木造の橋というのは、素材の柔らかさから強度が弱く、アーチを作るのに向いていません。そのため世界中を探しても木造のアーチ橋は存在しておらず、錦帯橋が稀な橋と言われるゆえんです。
錦帯橋ではそんな木造の弱点をカバーすべく、桁(けた)、楔(くさび)、梁(はり)、棟木(むなぎ)などの部材を組み合わせたアーチ構造が生み出されました。桁をアーチの中央に向かって角度をつけながらせり出して重ね、その角度の変化によって生れる隙間を楔で埋めます。そして並んだ桁は梁で固定し、各橋脚からせり出した桁同士を棟木で中央部で繋ぎます。さらに巻金で部材を束ねることにより、強度を高めているのです。木材はマツ、ヒノキ、ケヤキなどを強度によって適材適所使用しています。橋の技術には先人たちの努力と英知が詰まっており、「錦帯橋」という唯一無二の橋を実現しています。
景色
錦帯橋は風景美としても評判が高く、季節や時間帯によってさまざまな表情を見せてくれます。夜のライトアップはとても幻想的で、思わず息を飲む美しさ。春季のライトアップは3月下旬から6月1日まで、夏季のライトアップは8月上旬から1月中旬まで行われています。風がない穏やかな日には、水面に映る逆さ錦帯橋が見られることでしょう。
岩国城から眺める錦帯橋とロープウェイ
錦帯橋を渡って10分ほど歩いたところに、岩国城へ登れるロープウェイがあります。岩国城は初代藩主、吉川広家によって1608年に建てられました。錦川を天然の外堀にし、山頂を要塞として城が建てられましたが、築城後7年で一国一城令により取り壊されました。現在の城は1962年に再建されており、内部は資料館になっています。展望台からは山々や海、城下町を一望できるので、岩国城からも錦帯橋を眺めてみてはいかがでしょうか。
4. 錦帯橋の四季
四季によってさまざまな表情を見せてくれる錦帯橋。シーズンごとのおすすめポイントをご紹介します。ぜひお好きなシーズンに訪れてみてください。
春は桜
春の錦川周辺はソメイヨシノをはじめとするたくさんの桜が咲き誇り、一年で最も美しい季節が到来します。日本さくらの名所100選にも選ばれており、「さくら舟」という遊覧船に乗って川から桜を鑑賞することができます。夜には桜の見ごろに合わせて、夜桜と錦帯橋のライトアップも。一段と美しく彩られる錦帯橋が見どころです。
夏は鵜飼遊覧
「鵜飼」は約400年前から続く伝統行事で、漁が解禁となる夏の夜に錦帯橋の架かる錦川のたもとで行われます。昔ながらの漁法を踏襲し、篝火(かがりび)を焚いた何艘もの小舟で鵜を操って鮎を獲ります。その様子を屋形舟に乗って観賞することも可能。豪快な鵜飼の迫力と幻想的な錦帯橋を、間近で堪能することができます。
秋は紅葉
秋になると錦帯橋周辺は紅葉で彩られます。見頃の時期は11月中旬~下旬。川岸を歩きながら紅葉を楽しむもよし、遊覧船「もみじ舟」に乗って錦川から眺めるのもよし。錦帯橋から徒歩10分ほどにある「紅葉谷公園」はもみじが多く人気の紅葉スポット。散策にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
冬は雪化粧
温暖な気候の岩国でも、年に数回は雪が降ることがあります。雪化粧をした錦帯橋もまた違った雰囲気に。朝日の差す雪景色はオレンジと白が際立ち、絵になります。山頂には雪化粧をした岩国城も見ることができ、とても風情のある景色が見られます。
5. 歴史と風情を感じさせる錦帯橋
錦帯橋は歴史や受け継がれてきた技術も魅力ですが、周辺の豊かな自然や発展してきた文化にも風情を感じることができます。表情豊かな岩国市の錦帯橋へ、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。読売旅行のツアーなら、錦帯橋と一緒に見どころ観光地を効率よく回れるので、交通方法に悩むことなくご参加いただけます。
とりっぷナビ編集部
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